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献立を考える場所はスーパーの店頭からスマホの中にも

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自動で献立を作成するスマートフォン向けアプリ「タベリー」はご存知だろうか。家族構成やアレルギー、好きなレシピを登録すると、それに合わせて数日分の献立を自動で作り、レシピと買い物リストを提供してくれるアプリだ。

カレンダーで献立が必要な日付を選択すると、事前に登録した好きなレシピなどをもとに献立が提案され、必要な材料を揃えるための買い物リストまで作ってくれる。
カレンダーで献立が必要な日付を選択すると、事前に登録した好きなレシピなどをもとに献立が提案され、必要な材料を揃えるための買い物リストまで作ってくれる。
レシピはベターホームや味の素などからの提供で質が高い。食材の分量は、家族構成に合わせて調整されて表示される。
レシピはベターホームや味の素などからの提供で質が高い。また、食材の分量は、家族構成に合わせて調整されて表示されため、家族構成に合わせて再計算する必要はない。

これまでの生活者は、今日明日の献立を思い浮かべながらスーパーに向かい、売り場に並ぶ品々をみながら献立を決定していた。そのような消費行動に応えるため、小売店側も「今夜はカレー」などのポップを立てて関連商品を集めたり、店頭でレシピを配布したり、最近ではcookpad storeTVやDELISH KITCHENなどのレシピを紹介するサイネージを設置したりすることで販売促進を仕掛けている。しかし、タベリーのユーザーは、提案された献立と、それに基づいた買い物リストに従った行動しか取らない。献立が決定する場所は、店頭からスマートフォン内に移動してしまう。そうなると、小売店ができることは、高利益商品への誘導や、嗜好性の高い商品で衝動買いを促すぐらいになってしまう。

2017年のリリース以降、献立に悩んでいた人々から高い評価を受けていた本アプリだが、2019年5月にネットスーパーとの連携したオンライン注文機能を追加し、アプリ内だけで、献立の検討から、買い物リストの作成、食材の購入まで行えるようになった。

これまで私が日々の買い物にネットスーパーを使わなかったのは、オンラインショップは目的のものを買うのは便利だが、全体を眺めつつ「今日は肉じゃがにしようかな、鍋にしようかな」と献立を考えるには、店舗のほうが便利だと感じていたからだった。ところが、アプリが先に献立を決定して買い物リストを作り、さらにその入力を自動化してしまうと、配達してくれるネットスーパーの便利さが際立つ。

買い物リストをもとに、そのままネットスーパーのカートに入れるところまで、勝手にやってくれる。とても便利。
買い物リストをもとに、そのままネットスーパーのカートに入れるところまで、勝手にやってくれると、ネットスーパーも便利になる。

家事の時短への要求が強まるなか、野菜宅配のオイシックスがレシピつき献立キット「kit Oisix」を提供したり、ヘルシオやホットクックなどの調理器具に最適化した食材を販売するシャープの「ヘルシオデリ」を展開したりするなど、内食の効率化サービスが数多くでてきている。ただ、これらのサービスは、生活者が自分たちのことを覚え、必要とされるときに思い出してもらわなければならない。ところが、タベリーであれば、毎日の献立という悩みに解決策を提示することで、継続的な接点が生まれ、そこからスマホを数タップするだけで注文につなげてしまう。外食も含めた平均的な食費は、1人あたり月々2万円弱とされるが、その行方をコントロールできる立場になりうるサービスだと感じた。

ただ、献立を考えるというのは、非常に高度な作業だ。スーパーでショッピングカートを押しているあいだに、私たちは予算、これまでの献立の履歴、栄養バランス、冷蔵庫内の食材やストック料理の状況、野菜の価格変動、小売店での特売、子供たちの学校給食との被りの回避、翌日の弁当への転用、自宅の調理器具……、さまざまな要件や制約を考慮して献立を決め、食材をカゴに入れている。それらに比べると、タベリーが提案する献立には、そこまでの条件は考慮されていない。困った日のお助けアプリであれば、少しばかりのズレがあっても問題にはならないが、毎日に寄り添おうとするならば、逆にそれらの諸条件との齟齬が目立つことになる。タベリーは、その齟齬を克服することができるのだろうか。個人的には、月間の予算を指定できる機能、予約調理ができるシャープのホットクックを活用したレシピ提案、生協との連携ができると、依存度がグッとあがるのだが……。

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