4DX with ScreenXは重箱の隅をつつかなければ最高のエンタメだ

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池袋にオープンしたグランドシネマサンシャインに、4DXとScreenXを同時に体験できるスクリーンがあると聞いたので早速体験をしてきたので報告しておきたいと思う。4DX with ScreenXがどういうものかはについては、こちらのビデオでおさらいしておきたい。

前面のスクリーンに加えて、左右にも映像が表示される「ScreenX」と、椅子が動いたり、水が飛んできたり、風が吹いたりといった演出のある「4DX」の合体である。筆者が見た作品は「スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム」だ。実写とCGによるSFアクションなので、こういう環境には最もふさわしいタイプの作品だろうと思ったからだ。

実際に体験した感想としては、リアリティは皆無だがエンタメ、作り物としては最高だ、と思う。エンタメ部分について言えば、ありえない映像に連動して大げさに椅子が動き、わざとらしい水しぶきや、耳元から風が吹いたりするという、五感の全てに対してこれでもかとわざとらしく訴えかける演出は、バカバカしすぎることが最高なのだ。ラスベガスの自由の女神やエッフェル塔、火山みたいなもんである。

問題はリアリティさ、臨場感に関してだ。特に映像の高臨場感性についての感想を言うと、リアリティさは皆無である。これは作品自体の問題もあるとは思う。筆者が一番問題視しているのは、角の処理である。HMDで360VRを見ると、擬似的な360度の球体のスクリーンを見ているのだが。撮影の際のレンズとストレッチの仕方、再生の状況によって多少の違いはあるが、一応シームレスに映像はつながっている。ところがScreenXはスクリーンの隅が直角、つまり「重箱の隅」になっているので、静止画のときはさほど気にならないが、移動体あるいは視点が移動している映像だとこの部分の見え方が明らかに不自然なのである。

下記は筆者が2012年に同様の表示環境用のコンテンツのシミュレーションとして作成したものだ。最初はモーショングラフィックス、つまり作り物の場合を2本見ていただきたい。36秒あたりでアルファベットの「A」が左のスクリーンに移動するときの不自然さを確認してもらいたい。

別のモーショングラフィックスの場合は、こうした違和感は感じない。理由は全部が作り物であって本物が写っていないからだ。

それではこれを実写でやるとどうなるかを試したのがこちら。GoPro HERO2を5台使用して撮影したものを、できるだけサイズだけ合わせて一本の映像にはめ込んでいる。

これを見るとやはり四隅の部分が非常に不自然である。これらの映像は、32インチのディスプレイを5面、箱のように並べて、そこに顔を突っ込んで確認もした。高い臨場感を得るために上下左右に映像を出すというのは方向性としては正しいのだが、角やつなぎ目の部分の処理がこのままではダメなことが確認できた。その後のHMDと360VRカメラでこうした問題は基本的には解決をした。

今回の4DX with ScreenXによるスパイダーマンは、全編に渡って左右の映像があるわけではない。左右には何も映らない時間が半分近くあり、ぼかしなどでごまかしたような映像(放送的に言うサイドパネル)が2割位、残りがちゃんとした左右の映像であった。上映される映像の輝度が前に比べて左右は暗いので、楽しみ方としてはあくまでも前方スクリーンを見ながら、左右には「視覚の補足」として何がが写っている、といえば伝わると思う。首を動かすとちゃんとした横の様子が見えるHMDとは決定的に異なるものだ。

4DXもそうなのだが、リアリティを求めるのではなく、楽しい、いろんな刺激を受けるという意味では4DX with ScreenXはとても楽しい。ただ、それが3300円の価値があるのか、普通にスクリーンとの差額を考えると疑問点は残ってしまうのであった。

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