埼玉知事選は翔んで埼玉でどんだけ翔ぶのか

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今週末8月25日は埼玉県知事選挙の投票日である。埼玉県選挙管理委員会が作成した動画やポスターが、埼玉県民的には非常に話題である。映画「翔んで埼玉」とのコラボ企画で、駅などのポスター、京浜東北線、埼京線、西武線(もだと思う)のデジタルサイネージ、テレ玉(ご存じないだろうテレビ埼玉のことだ)などで大々的に展開されている。かくいう筆者(生まれも育ちも今の住まいも埼玉県)も毎日バッチリ目にしている。目にしているどころか、ポスターを写真にとって同じ埼玉県民に「こんなの見つけた!」とシェアする始末である。広報の手のひらにまんまと転がされている。

投票日後の8月26日追記:選挙が終わったためだろうか、残念ですが下記の動画が見られなくなりました。

30秒バージョン 電車内では音はないがそれでも問題ないように作られている
これが選挙ポスター?

自分が埼玉県民なので、臆面無く声を大にして言いたい。埼玉県民は自虐が大好きである。埼玉県川口市の動画も自虐だらけで、翔んで埼玉の大ヒットはそこに起因しているのは言うまでもない。

地方過ぎるわけでも都会過ぎる訳でもなく、超が付くような観光地もなく(川越や長瀞はとても良いところだ)、方言があるような地域でもなく…と、翔んで埼玉の作品中や川口市制作のこの動画でも言及されているように、埼玉県には何もない。いや、あるのだが、県民感情的にはどうしてか何もないと思っていて、それを絶妙につついて吐き出して共感の渦に巻き込んだのが映画翔んで埼玉である。あるあるネタのオンパレードのこの作品は、埼玉県民にしかわからないネタだらけで埼玉県民の心を魅了し、数ヶ月経ってもMOVIXさいたまの1番シアターの上映を勝ち取り、満員を叩き出していた。埼玉県民から言わせてもらうと、だって面白いもん、に尽きる。

さて、そんな翔んで埼玉とのコラボ動画。非常によくできていて、まず「投票に行こう!」で始まらず「埼玉県民には…投票に行かせておけ!」とけしかけるのがたまらない。作中のセリフのもじりだが、これ自体が翔んで埼玉の単行本の表紙のパロディであり、翔んで埼玉のヒットで皆知っているビジュアル・セリフだからこそグッと目を引く。そこから自虐に走ったりネタに走ったりと、一切投票の説明や県知事選がなんたるかを説明しない。ただ、埼玉県民にだけ刺さるCM。ターゲットを絞りに絞って、更に内容を削りに削って、いかに埼玉県知事戦への関心を持たせるかのみに注力した広告で、非常に見事だなと思った。

更に埼玉県の自虐ネタは続く。翔んで埼玉とのコラボCMはTwitter上でもトレンドにあがっており、それを追っていくと埼玉県の投票率は全国で1番低いという情報が出てくる。わかる~と共感しつつ、千葉に負けている? それはまずいな選挙行かなくては、と妙にプライドを煽られる。実際に、期日前投票が既に前回を大幅に超えているようだ。当たり前だ、死んでも千葉には負けられない。

投票日後の8月26日追記:選挙が終わったためだろうか、残念ですが動画が見られなくなりました。

15秒バージョン。30秒の短縮版ではなくネタが違う。

筆者は川口駅を利用しているため、毎朝立候補者の演説を横目に駅を利用している。無関心な人にはうるさいなぁ邪魔だなぁで終わるところだろう。だが、その後の電車の、京浜東北線の車内サイネージでこの動画を見せられると、なんだ意外と選挙ってライトじゃん?となり、さっき駅立ちしてた人は何を話していたのだろうと検索のきっかけになり、各人のマニュフェストを読むきっかけになる。このように電車内のサイネージは検索のきっかけになる事が多く、今回は特に理にかなったPR手法だと言える。デジタルで訴えたことがリアルに繋がっていく、もしくはリアルで体験したことがデジタルで補われる。動画で言及する内容はチャラくても、そこから先に繋がれば良い。埼玉、東京、神奈川を貫いているJR京浜東北線ユーザーのうち、埼玉県民以外は潔くバッサリと切り捨てたこの戦略は、サイネージ広告のお手本のような気がして、埼玉県民としては38度の灼熱に耐えながらさらに胸熱になれる。

今回の作戦で、はたして若い世代がどれだけ動くか。広報戦略とは関係無く、立候補者が新人対決で注目を浴びるこの選挙、はたしてどこまで翔ぶのだろうか。

投票日後の8月26日追記:投票率は32.31%(前回は26.63%)であった。