LED蛍光灯と一体化した防犯カメラからIoT普及の鍵を考える

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JR京浜東北線のE233系車両に乗った際、ドア付近のLED蛍光灯を見たところ、片方の端が金属製でスターウォーズのライトセーバのような形になっており、その柄の部分にカメラが設置されていた。

よくみると、右側の黒枠のなかにカメラが見える。
LED蛍光灯の端にある黒い枠をよくみると、右側にカメラが見える。

金属部分には開口部が2つあり、右側はカメラだが左側はガメラ画像をWiFiで車両内のどこかの機器に送るために電波遮蔽を防止するためのプラスチックか何かの板ではないかと想像される。開口部を一体化していない理由はわからない。

オリンピックに向け、首都圏の鉄道車両内では防犯カメラの設置が急ピッチで進んでおり、最近の新型車両のドア上の鴨居には、デジタルサイネージのほか、防犯カメラが設置されるのが一般的になってきた。

丸ノ内線の新型車両2000系は、ドア上のサイネージ横に防犯カメラを設置している。

ただ、すべてを設計から行える新型車両はともかく、既存車両に防犯カメラを設置するには、給電のために配線を取り回さなければならず、そのコストは膨大で鉄道事業者にとって負担が重い。ところが、LED蛍光灯にカメラを仕込めば、そのような配線工事は不要だ。設置に必要な費用を大幅に削減できる。

2019年5月には、東急大井町線でも同様にカメラ付きLED蛍光灯「IoTube」(アイオチューブ)を約1か月の期間限定で試験導入をしている。こちらの機材では、LED蛍光灯内にマイクロSDカードと4Gモジュールを内蔵しているため、車内に映像を保管するための機材も不要。蛍光灯を交換するだけで防犯カメラが稼働し始める。ドア上のフタ内に防犯カメラを設置する場合と比べれば、ゼロ3つぐらいのコスト削減になる。

東急電鉄とソフトバンク、5月31日(金)から大井町線に
4Gデータ通信機能を備えたLED蛍光灯一体型の防犯カメラを鉄道業界として初めて試験導入

エッジAI/IoTは、機材コストは下がってきているが、設置コストは工事費や人件費である以上、劇的に下がることは期待できない。それどころか、今後の人口減少とそこからの人手不足を考えれば、上昇する可能性もある。そうなると、エッジAI/IoTを導入する企業にとって、機材やソフトウェア以上に、設置工事のコストが負担になる。この問題を乗り越える一番簡単な方法が、今回のカメラと一体化したLED蛍光灯のように、既存設備を活用したインターフェイスを持つことだ。とくに建物や鉄道車両などの耐用年数が長いものに設置する機材では重要になるだろう。

さらにこうした物理的な既存のものとの一体化から想像するに、カメラとエッジAI処理機能が一体化した「汎用的なエッジAIカメラ」のようなものが求められてくるに違いない。