AIデジタルサイネージが駅の当たり前になる?

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AIデジタルサイネージの「AIさくらさん」が、JR品川駅に再登場した。2018年末から2019年3月まで「案内AIみんなで育てようプロジェクト」のフェーズ1が行われたが、8月5日から11月10日までの予定でフェーズ2がスタートしたのだ。

品川駅はJR東日本の在来線、JR東海の新幹線、京急線などが乗り入れる東京の玄関口になっている。羽田空港も近く、最近ではビジネスマンだけでなく、旅行者も多く訪れるプラットフォームとして賑わっている。実際、品川駅の乗車人員は日本国内第6位になり、朝晩のラッシュ時には人があふれ大混雑している。

品川駅は港南口と高輪口に分かれているが、港南側には改札がないため、港南口に出るためには長いコンコースを歩く必要がある。両出口周辺には買い物や宿泊施設も多く、駅ナカ・駅チカには似たようなショップやレストランも多く、駅員の案内業務が課題になっていた。

最近では、JR東日本グループの人手不足も深刻で、駅員の負荷を減らすため、乗客の質問に答えるAIデジタルサイネージを設置したのだ。今回の実証実験では、乗客の質問内容に基づきAIが学習し、案内の精度向上をはかることが目的になっている。ただでさえ多い業務に加えて、日々増加するインバウンド対応が駅員の負担になっている。飲食店や売店、トイレの場所などの簡単な質問は、AIサイネージが担当すれば、駅員は本来やるべき重要な仕事に専念できる。

今回、JR品川駅の他にも、東京駅、新宿駅、池袋駅、横浜駅、東京モノレールの羽田空港国際線ビル駅など8駅30カ所に、35台のAI案内システムが設置された。AIデジタルサイネージだけでなく、上野駅や池袋駅では、デジタルサイネージとロボティクスの技術もテストされている。


実験が行われる駅はどこもインバウンド客が多く、多言語のテストも行われている。筆者が体験した品川駅の「AIさくらさん」は英語、中国語(簡体字)、韓国語だけでなく、タイ語、インドネシア語、ベトナム語、ポルトガル語の計8か国語に対応している。この秋に開催されるラグビーワールドカップや来年の東京オリンピックを見据え、外国人観光客の案内を強化した。

「AIさくらさん」の操作は簡単で、タッチパネルに表示される女性駅員のキャラクターのナビに従えばよい。例えば、レストランを選択すると店舗候補が画面に表示され、選択すると地図が表示される。音声ナビにも対応しているので、子供やインバンド旅行者にも使い勝手がよいはずだ。今回は外部サービスとの連携も行われ、経路検索の「駅すぱあと」、地図サービスの「MapFan」、飲食店情報の「ホットペッパーグルメ」の情報が使える。

今後、乗客からの質問をAIが収集・分析することで、JR東日本グループは顧客行動を把握できるようになる。顧客のニーズを把握することで、駅ナカ・駅チカの店舗リニューアルや、商品・サービスのクオリティをアップできる。結果、顧客満足が高まり、競合に対しての優位性を発揮できるようになる。より多くの乗客に利用してもらい、データを蓄積するために、「AIさくらさん」は改札口正面の目立つ場所に設置されていた。アニメキャラクターを使用することで、既存のサイネージに比べ親近感もわく。

今回の実証実験から、筆者はJR東日本グループの本気度を感じた。来年のオリンピックイヤーにはこのAIサイネージが、東京都内の駅の当たり前になっているかもしれない。