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超実写版ライオンキングとディープフェイク

AI/Media /

ネットでもかなり話題になっている“超実写版”ライオンキング。日本でも8月9日から公開されかなりの人気のようだ。筆者は過去にアニメ版、劇団四季のミュージカル版を観て、そして今回のフルCG版も早速見に行ってきた。(字幕版)

お断りしておくが、筆者は映像のことや演劇のこと、それらのクオリティや内容を批評する能力もなければ、なんのセンスも持ち合わせていない。だから、あくまでも個人的な意見として笑読していただければと思う。

筆者は猫好きなので、主人公のシンバが誕生するシーンのあのモフモフ感はタマラナイ映像だ。たぶん、予告版のあのシーンだけで“絶対観る”、と決めた人も多いと思う。

主人公の父ムファサの声優はあのスターウォーズのダースベーダーの声を演じたジェームズ・アール・ジョーンズであり、アニメ版と同じ配役だ。ヒロイン・ナラ役には、歌手のビヨンセであることなど、バックエンドの話題も多い。

オープニングのアフリカの大自然の日の出の映像は想像を絶するほどリアリティがあり、アニメを忠実に再現(?)している。ハキリアリ(実は中南米に生息していて、アフリカにはいない。余談!)の行進シーンでは実写のようにズーミングし、背景を大きくボカす効果を出している。アニメバージョンと同カットではあるが、よりリアル感を追求している。

ストーリー自体は元々極めて秀逸なものだし、超高精細の映像には驚かされるばかりだ。純粋にエンターテイメントとして楽しめる。一方、アニメーション版と比べて、意図的な修正も少し感じられた。悪役の叔父スカーがハイエナを操り王国を乗っ取るわけだが、アニメバージョンではハイエナに対しかなり“上から目線”であり、かつ相当悪い人(ライオン?)を感じさせる演出だったが、今回のバージョンではハイエナも含めた社会の弱者、虐げられているもの達のリーダー的な人物、という演出になっていると感じた。劇中歌のBe Prepared の歌い方には明らかに差がある。(扇動しているのではなく、協力しよう、というニュアンスが強い)もしかすると多様化している時代背景を少なからず反映しているのかも知れない。

本物のライオン(他の動物たちも)と区別がつかないほどリアルなので、英語のセリフに同期した口の動きには何とも言えない違和感と、精密がゆえに登場人物の表情をアニメ版より豊かにすることができない演出のジレンマがあることは確かだ。それでも、そのクオリティは歴史に名を残すものであることは間違いないだろう。

ここで、ようやっとGASKET的な話になるのだが、多分、同様に感じた人が試したことなのだろう。Nikolay Mochkinという人がディープフェイクというAIの敵対的アルゴリズムを使って、アニメ版で学習させたデータで今回のCG版の一部をリメイクした趣味的(たぶん)な映像が話題になっている。

オリジナルの本作が凄いからこういう試みもできるのであって、オリジナルの作成スタッフへの敬意の念は揺るがないし、心から驚嘆している。

ただ、プロダクトアウト的な発想、つまりAIを使ってディープフェイクしたらどうなるかな、というある意味安易なアプローチでも何かを知ったり、訴えたりできる技術レベルに到達(かつ急激な進化中)しつつあるのは確かな気がする。

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