映像を暮らしの中に溶け込ませるpopIn Aladdin

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照明一体型プロジェクター、「popIn Aladdin」がMakuakeでのクラウドファンディングを経て、これまでに2万台以上売れたそうである。爆発的とは言えないかもしれないが、こうした製品としては相当なヒット商品と言えるのではないだろうか。そこにはずっとテレビ由来のままだったわたしたちの映像との関わり方を変えてくれる世界観があるのだ。

下の写真は製品紹介ページにあるものだ。シーリングライトとプロジェクターが一体化したものである。象徴的な利用シーンとしては「寝室で家族みんなで大画面を楽しむ」といった訴求をしている。

https://aladdin.popin.cc/

現物を確かめたかったので、製品サイトから実機が確認できる場所を探したところ、日本全国かなりあちこちで体験することができるようなので、渋谷のビックカメラに行ってみた。実機はまさに丸いシーリングライトとプロジェクターが一体化しているものだ。大きさは直径が約50センチ、高さが17センチで、シーリングライトとして見ると直径がちょっと大きく、かなり厚みがある。プロジェクターとして見ると小さい家庭用サイズではなく、業務用の6〜7000ルーメンクラスのサイズ感だ。想像していたよりは大きく感じるが、圧迫感がある程でもない。

ここでの展示は、投影位置の高さ関係で、本体が斜め上向きに設置してあった。通常の家庭では、普通に天井面に水平に設置して問題ないと思われる。投影面と本体の位置関係はこちらで確認することができる。

ここでは斜めに設置しているが通常は水平設置で問題ないはずである
ここで投影サイズは40インチ程度だった
明るさは700ルーメン、コントラスト比は非公開

展示されていた場所はテレビ売り場で、店内の照明は暗め。上の写真でわかるように通常の明るさの店内と比べるとかなり暗い。そうした環境でプリセットコンテンツの一つである共同通信のニュースを表示しているのが上の写真だ。背景は「黒」である。デジカメによる再撮なので判断はしにくいと思うが、やはり明るさとコントラスト比が気になる。

電源コードさえ不要 完全ワイヤレスの快適さ

popIn Aladdinの特徴はなんと言っても照明一体であることだ。天井にある照明用の引掛金具を利用して取り付けるが、重量は4.9kgなので設置は極めて簡単である。そしてもう一つ、完全ワイヤレス設置、ワイヤレス接続であるということだ。電源ケーブルすら不要である。映像系はすべてWiFiで伝送している。そのために設置状況はまさに照明器具そのものということになり、あの鬱陶しく見苦しいケーブル類が一切ない。加えてプロジェクターの強みである、「使わないときは姿を消す」点も重要ポイントだ。テレビがダメなところは、我々は当たり前だと思いこんで受け入れているのだが、使わない時に黒くて醜い板切れとして存在するので非常に邪魔な存在なことである。一方プロジェクターは、投影しなければ何もない。スクリーンを使えば別だが、壁が残るだけだ。その場合でもプロジェクター本体がどこかに残ってしまうのだが、popin Aladdinは照明器具として存在できるので全く気にならない。使いたいときだけ、見たいときだけ存在してくれるのだ。

設置場所と投影サイズは事実上限定される

一方で引っ掛け金具で設置するということは、設置場所が固定されることを意味する。通常引っ掛け金具は部屋の中心にあるのが普通だ。また引っ掛け金具がない部屋の場合はその取り付け工事をする必要がある。設置位置が固定ということは、画面サイズも固定になることを意味する。popIn Aladdinはコストを抑えるためただと思われるがズームレンズを搭載していないのである。試しに部屋のサイズとPopIn Aladdindでの投影サイズから計算してみたところ、4.5畳では40インチ、6畳では40または60インチ、8畳では60インチ、10畳では60または80インチにそれぞれ事実上固定になる。プロジェクターというと壁一面の超大画面をイメージしやすいのだが、この製品ではそうなることは少ないと考えるべきだ。仮に夢の100インチ以上のサイズで投影するためには、距離にして3メートルの場所に引っ掛け金具があったとしても、700ルーメンという明るさでは鮮明さに欠けることになると想像される。コンテンツ内容にもよるだろうが、夜間に真っ暗にしても視聴に耐えられるか疑問である。

もう一つ、解像度は1280×800である。これは製品価格(実売で税込79,790円)であるので700ルーメンにせざるを得ず、総合的に解像度をこれ以上は上げられないられない、上げても意味がないという判断だろう。

テレビ的な視点で考えると、popIn Aladdinは当然ながらTVチューナーは搭載していない。本体はAndroid PCで、YouTube、AbemaTV、Netflix、Amazonプライムビデオ、Spotifyなどのアプリがインストールされている。なお自分で新規にアプリのインストールはできないようである。また外部のHDDレコーダーやSTBとはWiFiとDLNAを介して接続することでテレビを見ることも可能。オリジナルコンテンツとして子供向けのデジタル絵本なども用意されている。また時計や窓コンテンツなど、スマートディスプレイ、ホームサイネージ的な要素もある。

テレビ由来のままだった映像との関わり方を変えてくれる

popIn Aladdinは夢のホームシアターを志向している製品ではないのである。「映像が暮らしの中に溶け込むこと」を目指している。物理的存在を消すことで、本来機能である映像表示装置、すなわちコンテンツ自体の存在が浮き出されるのである。素晴らしい商品だと思う。

実際の使用例がたくさん掲載されているこちらのページを見ていただきたい。ただし、こうした製品は東映画面をデジタルカメラで撮ると往々にして明るく映るものなので、実際にあらかじめ自宅で体験することをおすすめする。月々5,500円(税込)で購入、または7泊8日で5,980円(税込)でレンタルもできるようである。

個人的には、明るさ(日中でも使える3000ルーメン以上)、解像度(いまどき4Kは欲しい)、コントラスト比(これは必ずしも数値では言い表せない)などのプロジェクターとしての基本機能をアップさせ、設置場所を引っ掛け金具のまま壁面に最適に表示できるようにするためのレンズを搭載してくれたらなと思う。この要件を満たすと50万円以上するんだろうが。そこまで行かなくても20万円くらいで最大の機能を入れた商品企画をしてもらいたいと思った。

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