都心のトイレ事情を利用した集客作戦

AI/Digital Signage/IoT /

商業施設の中を歩いていると、女性の長蛇の列。なんだろう、バーゲンか?期間限定のお店でもできたのか?近づいてみると…ただの女性のお手洗い待ちの列。この間筆者も渋谷の商業施設を利用しているとき、そこの施設内にあるトイレが、全て30人くらいの長蛇の列…。諦めて他の場所を探すも、どこも長蛇の列。穴場として長年使っていた施設のトイレに向かうと、なんとそこのテナントのスタッフに暗証番号を聞かないと入ることのできないシステムになっていた。結局トイレに入ることができたのは1時間後。都心部ではトイレ難民は今日も歩き彷徨う…。

そんなトイレ難民を解消すべく、株式会社バカンからリアルタイムでトイレの混雑状況を一目で把握できるサービスが人気である。Throne(スローン)という、IoTを活用した次世代クラウドサービスだ。建物内に複数トイレがあったとき、各階のトイレの混雑状況をデジタルサイネージに表示させることができる。お目当の階のトイレが混んでいる場合、サイネージに表示されている空いているトイレへ向かうことができるのだ。

割と最近はいろんなところで見受けられるようになったThrone。筆者もついこの間偶然街を歩いていて見かけたのだが、その設置位置からトイレ空き状況サイネージの新たな可能性を考えるきっかけとなった。

筆者が発見したのは、東京駅に隣接している商業施設、大丸東京である。東京駅八重洲口方面に用があり、大丸東京の横を通過して街に出ようとしたのが、そのときトイレ空き状況がサイネージに表示されているのが見えた。しかし、ここは百貨店の入り口。しかも施設の中ではなく、通行人に見えるところに表示されている。そこのサイネージにはトイレ空き状況以外にも、同社で開発をしているレストランの空き状況案内や、店舗の詳細のムービーなども流れてはいるが、とはいえ、賑わう土産物コーナーや商品売り場が見えるガラス窓から外にいる人に向かってトイレの情報を表示するメリットとは…?

バカン社のThrone。
店舗の入り口に面した通路からよく見えるところにある大きなサイネージに、トイレの空き状況が表示されている。

そこで、街を彷徨うトイレ難民に結びついた。

トイレ難民が偶然ここを通りかかり、トイレの空き状況を見て施設内のトイレを利用し、ついでに最低でもトイレから施設の出口までの動線の間でショッピングをしてくれるのではないのだろうか。つまり、トイレの空き状況で集客をするのだ。

具体的にどんな施設で効率的な集客が可能になるだろうか。

まずは、大丸東京のような施設。駅前にあり通行人もかなり多い。待ち合わせ場所になるようなところからも近い。ウィンドウショッピングだけでも歓迎される施設で、階層もたくさんあるため、トイレにたどり着くまでにいろんな店舗を目にすることになる。空いているならとりあえず寄っておこう、時間があるから寄っておこうという精神が働く。さらに時間がある人ならそのまま店舗内を見て歩く可能性も高い。

次に、トイレが1箇所しか設置されていない1店舗のみ構えている場所。こちらはトイレを借りるついでに、喫茶店であればコーヒーを一杯飲んでいくなんて人はいるだろうが、普段利用している客にとっては忙しないし、トイレの管理もぐっと増えて大変であるし、割に合わなそうだ。やはり、小さな施設は現実的ではない。

最後に、大きな野外のイベント会場。多数の出展ブースがあるようなイベント会場で、会場を回っている時に人の流れが少なくなりそうな会場の端に仮設トイレを設置して、一番賑わうスペースや、一番混みやすいトイレの近くに案内を置くことによって、誘導させることができるのではないだろうか。もし、この空き状況の案内がなければ、トイレ難民はそこの人が流れないゾーンにトイレがあり、そこが空いているだなんて気付かずに終わってしまうだろう。

正直、トイレとは全然関係のない場所でトイレの表示がでかでかと見えてしまうとその場所の雰囲気があまり良くなくなってしまう可能性はあるが、うまく利用すればこのような集客につながりそうだ。ユニバーサルデザインに考慮しつつも、表示の仕方にも少し考慮すれば、受け手の不快な印象も変わるかもしれない。トイレ難民も、集客に困っている店舗もハッピーになれる未来が来ますように。