モバイルバッテリーのシェアリングサービスの「ChargeSPOT」がChargeSPOTのオリジナルAppを使わなくてもLINE Appだけでモバイルバッテリーをレンタルできるようになった。
スマートフォン向けのオリジナルAppの開発やメンテナンスコストを抑えるために、ネイティブアプリではなくWebViewを使ったハイブリッドアプリにするケースが増えた。しかし、それであってもユーザーにAppをダウンロードしてもらうためのハードルは残っており、ダウンロード促進活動のコストは依然として高い。
そのようななか、ChargeSPOTは2018年10月にWeChatのミニプログラムを使うことで、オリジナルAppをダウンロードすることなく、WeChatだけでバッテリーを借りられるようになった。また、2019年6月にはLINEにも対応し、LINEだけでモバイルバッテリーのレンタルができるようになり、さらには翌7月にLINE Payでの決済にも対応した。これまでは、スマートフォンのバッテリーが切れそうなときにChageSPOTを見つけても、そこでAppをダウンロードしたり、クレジットカードを登録したりしなければならず、事前にアプリを入手していた人以外が利用するのは現実的ではなかった。それが今回のLINE対応によって、LINE上でChargeSPOTを友だち登録をするだけでバッテリーを借りられるようになった。実際にLINEを使ってバッテリーを借りてみたが、オリジナルAppを使うのに比べて段違いにハードルが低い。これであれば、事前に準備をしていなかった人でも、いざというときにバッテリーを借りられると実感した。


自宅のように、Wi-Fi環境が整い、落ち着いて入力できるような時間があれば、ユーザーがオリジナルAppをインストールして活用するハードルはいくぶんかは下げられる。しかし、「バッテリーが足りない!」に対してモバイルバッテリーのレンタルで応えるChargeSPOTのように、現場の課題に応えるサービスは、通信環境がいまいちであったり、キーボード入力するような時間がなかったりするときにこそニーズが生まれる。そのような状況でも気軽に使えるユーザーインターフェースがなければ、利用を促進することは難しい。そのような難問に対し、メッセージングアプリのミニプログラムは「オリジナルAppのダウンロードよりもハードルが極めて低い」「アカウント連携でセキュアなパーソナライズが容易にできる」「双方向にプッシュでのコミュニケーションが取れる」「決済手段が用意されている」そして何よりも「すでに多くの利用者を抱えている」ことで、唯一の解決策となっている。
腹が減る、喉が渇く、トイレに行きたくなる、バッテリーが切れる、そのような外出先で生まれるニーズに答えるサービスは、すべてがメッセンジャーアプリのミニプログラムになっていくのではないか。App開発は「iOS対応」「Android対応」ではなく、「LINE対応」「WeChat対応」のように、ターゲットユーザーのデファクトスタンダードとなっているメッセンジャーごとの対応が求められることになるのではないか。ChargeSPOTのミニプログラム化から、そのようなことを感じた。