「雑誌+映像+試飲」をセットにしたお茶のサブスクリプション TOKYO TEA JOURNAL

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2019年5月にお茶のサブスクリプションサービス「TOKYO TEA JOURNAL」が始まった。月額500円(別途、配送料300円が必要)で、月替りの茶葉2種類と、生産者インタビューを含む、そのお茶の情報誌が届く。

TOKYO TEA JOURNALを発行しているデザインユニットLUCY ALTER DESIGNは、オウンドプロジェクトとしてオリジナルの三軒茶屋の日本茶カフェ「東京茶寮」などのリアル店舗やオンラインストアを運営するほか、ひとり用の急須を開発して販売するなど、日本茶に関わる体験の構築に携わってきた。TOKYO TEA JOURNALの発行により、さらにこれらをつなげていこうとの試みだ。

サブスクリプションというと目新しく聞こえるが、古くからワインやスイーツ、草花などの頒布会が広く提供されてきた。利用者にとっては、自分では選ばないような新しいモノとの出会いや、シーズンに合わせたプロの目利きなどを楽しめるのに対して、事業者側にとっては、安定的な売上が期待できるうえ、サービスを通して「わかる」顧客を育成することで、価格競争ではなく、付加価値で競う市場をつくることができる。

情報誌と、試飲用のお茶2種類が送付されてくる。
情報誌と、試飲用のお茶2種類が送付されてくる。

TOKYO TEA JOURNALは、まさにその顧客育成に重心を置き、文化を作っていこうとの取り組みだ。

良いお茶づくりを続けるためには、良いお茶をきちんと評価し、人が良さを伝え、お茶を楽しむ文化を築いていかなければなりません。”

拝啓  利休さん

お茶のサブスクリプションといっても、茶葉は4gのみの小袋が2つのみ。メインは情報誌であり、添付の茶葉の生産者のストーリーが綴られている。記事にはQRコードがついており、茶畑の様子や生産者へのインタビューを映像でも見ることができる。

筆者も申し込み、創刊号には間に合わなかったものの、VOL.2、VOL.3と受け取ることができた。情報誌は、薄手ではあるが、チラシのような光沢紙ではなく、手触りのよいマット紙で16ページほどのボリュームがあり、同封された2種類の茶葉の生産者へのインタビュー記事などで構成されており、お茶にかけている作り手の想いが伝わってくる。また、QRコードのリンク先では、生産者のインタビュー映像や、話を聞いたり、商品購買ページQRコードがついており、映像を見ることで茶畑の美しさを改めてみることができる。

ただ、情報誌の記事がフルコンテンツだとすると、映像はダイジェストになってしまう。スポーツやレシピのように、時間軸に従ってものごとが複雑に動いたり、音を聞かせたりすることについては、映像と文章が横断的につながる意味は大きいが、TOKYO TEA JOURNALではインタビューがメインになるため、映像の価値が作れておらず、QRコードは、購買ページへのリンク以上のものになっていないと感じた。情報誌の完成度が高いだけに、映像の役割が明確にできていないように感じる。

また、このサービスに毎月送料込みで800円を支払う利用者は、すでにお茶に対して貪欲な学習意欲を持つ人々に限定されてしまう。確かにお茶はおいしいし、紙面もおもしろい。ただ、筆者のような素人にとっては、お茶2杯で800円かと思うと、これを継続するのは少々荷が重い。文化を形成していくには、底辺も合わせて広げていかなければならないが、LUCY ALTER DESIGNが、どのような形で体験をデザインするのか、引き続き見ていきたいと感じた。