実録「株式投資型クラウドファンディング」第6回~株式会社ヒナタデザイン~

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このシリーズではDANベンチャーキャピタルが運営する「株式投資型クラウドファンディング」のプラットフォームGoAngel(ゴ―エンジェル)の資金調達実例を紹介している。今回は、ネット通販サイト上の商品の写真を実物大にして、部屋や人に合わせて表現するARアプリ「scale post(スケポス)」のサービスを事業の中核とするヒナタデザインを紹介する。

同社は、2009年4月に、企業のWEBマーケティングにおけるブランディング・コンサルティング及びWEBサイトデザインを請負う会社として設立。WEB上で縮尺を自由に設定して表現するツールの開発に着手した。最初に開発したのは、建築、設計事務所向け設計図面の縮尺設定アプリ「アーキスケール」。取込んだスケッチや図面に縮尺情報を設定することで、所定の縮尺に変換して表示することができる便利なアプリで、建築関連アプリでは過去最高の10万ダウンロードを達成。その開発段階で、スケールをキーワードにした「実物大」というアイデアが生まれ、2016年に通販サイトの商品画像を実物大で見ることが出来るアプリ「scale post(スケポス)」の開発に成功した。

ヒナタデザインの事業の最大の特徴である「スケポス」事業。スマホアプリとして提供する「scale post viewer AR」は、スマホのカメラ機能によって映し出された自宅の部屋に、家具や家電を置いてみたり、鏡に映った自分の姿に洋服やメガネ、アクセサリを装着してみたり、アイドルやキャラクターと並んでみたり…と、個人で楽しむことも、企業の販促に活用することも可能。特にネット通販サイトなどで、商品購入前に自分や部屋と商品の相性(大きさや色合い)が確かめられるので、購入の失敗を減らすことができる。企業にとっては返品の削減に直結する。 
scale post viewer ARについては、2018年に大手家電量販店のビックカメラが自社のネット通販サイトに正式採用。TVや冷蔵庫などの大型家電製品を設置場所に映し出して購入につなげるマーケティング手法に活用が始まった。

ヒナタデザインは、スケポス事業を拡大すべく追加開発資金の調達を株式投資型クラウドファンディングGoAngelで行うこととした。目標募集額は1,000万円。募集期間は、2018年8月28日から2018年9月19日までの23日間。発行価額は1株あたり50,000円で、DANベンチャーキャピタルの募集取扱手数料を加えた募集価額は1株当たり55,400円であった。株式投資型クラウドファンディングでは、一人当たりの投資金額は、1社につき50万円が上限とされている。ヒナタデザインの募集における申込コースの選択肢は1口(5株、25万円)と2口(10株、50万円)。応募いただき新たに株主となったのは28名。多くは大谷社長を中心とするヒナタデザインの創業メンバーの知人・友人であった。

GoAngelでの公募増資による株主募集は株式投資への関心層よりもむしろ会社や事業に何らかのご縁があって関わりをもっている身近な方が株主として参加する「拡大縁故募集」。米国ではFamily & Friends Financeとも呼ばれていることは、このシリーズで紹介してきた。VRやARによる新たなライフスタイルの演出が広がりを見せる中、スマホ上のARアプリで市場拡大を図るヒナタデザインには今回、株主となっていただいたファンの期待も大きい。サイズを目視して確認したい商品のネット通販においては、利便性が高い。まずはこのマーケットにおいて利用が進んでいくことに期待したいところである。

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