移動によるマインドリセット効果

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「移動」の未来というイベントに参加してきた。筆者は今後広義でのモビリティの仕事に深く関わっていくことになるので、比較的アンテナを張っているつもりだからである。会場は渋谷の100BANCHという、パナソニックが100周年を契機に運用している実験プロジェクト&スペースである。

ヤマハ発動機株式会社 執行役員 MC事業本部長 木下拓也氏

ヤマハ発動機の木下氏は、同社の長期ビジョンであるART for Human Possibilitesに関して、「ロボティクスを活用し(Advancing Robotics)、社会課題にヤマハらしく取り組み(Rethinking Solution)、モビリティに変革をもたらす(Transforming Mobility)ことで人々の可能性を拡げ、より良い社会と生活の実現を目指す」と説明。

パナソニック株式会社 執行役員 モビリティソリューションズ担当 村瀬 恭通氏

パナソニックの村瀬氏は未来の車の人との共存の姿を示した。

株式会社アオイエ代表取締役CEO 青木大和氏

バスを居住スペースとして捉えるビジネスを展開しているアオイエの青木氏は、不動産から可動産への移行という事象を指摘した。

各自のプレゼンテーションのあとのパネルディスカッションでは、いくつかの興味深い指摘があった。その中でも、移動によるマインドリセットの話が印象に残った。

移動時には没頭できるということと、移動によって気持ちがリセットされるというのである。確かに椅子に座って何かを考えるだけではなく、散歩をしているときに閃きがあったりする。筆者の場合は飛行機の中、特に長距離の国際線の場合にはこの傾向が顕著である。高速移動がもたらす細胞レベルの変化なのか、気圧なのか自然放射線なのか、理由はよくわからないのだが、あの独特の非日常的な雰囲気と、音が脳を開放してくれる気がする。最近密かに流行っている「calm」のようなセルフメディケーションやマインドフルネス系のアプリのもたらす作用もこの辺に起因しているように思う。もう20年以上足を踏み入れていないが、パチンコ店のあの騒音と、一点をぼーっと見つめているときには完全にも心がリセットされた。パチンコはギャンブルではなく、完全にマインドリセットが目的だった。

つまり、近未来の移動、モビリティーを考える際においては、移動によってマインドリセットを得るという点を真剣に考える必要があるという指摘だ。移動による場面転換、セットチェンジと言ってもいい。単語で言えばやはりデジタルウエルビーイングということなのだろうか、ハイテク感、デジタル感から一歩引いた目線でサービスやビジネス設計をするべきだろう、という予兆が見えてきていると思う。