多忙な女性をターゲットにする資生堂のAI活用

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共働き世帯が増え、出産からの職場復帰までの期間も短くなり、女性の忙しさが増している。そのような多忙な女性をターゲットにしたサービスのひとつとして、パーソナルスタイリングを行うファッションレンタルサービスのエアークローゼット(airCloset)を以前に紹介したが、その化粧水バージョンともいうべきオプチューン(Optune)が2019年7月に本格展開を開始した。

オプチューンは、資生堂が専用マシンとスマートフォン向けアプリを使って、ユーザーがそのときに使うのに最適の化粧水をカスタマイズして提供するサブスクリプションサービスだ。ユーザーは、スマートフォンの専用アプリOptune Appを使って、肌の状況をカメラで分析したり、睡眠時間や気分などの情報を入力したりすると、居住エリアの天気や気温、湿度などの外環境も考慮したうえで、ユーザーにとって、その時間に最適な美容液を専用マシンが調合して提供する。

肌質の測定は、スマートフォンのカメラを使う。目の下、頬骨のあたりにカメラレンズをあわせ、iPhoneに専用アプリを入れて撮影する。
測定結果は、決め、水分、皮脂、毛穴の4項目で測定される。
測定結果は、決め、水分、皮脂、毛穴の4項目で測定される。
気分や、肌の手入れを行う時間帯などの情報を入れる。
気分や、肌の手入れを行う時間帯などの情報を入れる。
専用機には化粧水と乳液のカートリッジが装填されており、下に手を差し入れると、化粧水がショットされる。

専用マシンには、化粧水が入ったカードリッジが5本入れられるようになっており、残量が少なくなると配送されてくる。カードリッジの種類は非公表だが、個人の肌情報や季節に合わせて送られ、排出パターンも含めば8万に及ぶそうだ。

美容液のカートリッジ。これが本体内に装填される。残量が少なくなると、無くなる前に利用者宅に配送されてくる。カードリッジが何種類あるかについては非公表。
送られてきたカードリッジは、ユーザー自身で専用機に装填する。
送られてきたカードリッジは、ユーザー自身で専用機に装填する。

日本国内は人口減少がしているうえ、ファッションやコスメのメインターゲットである女性は、労働率は高まって多忙であり、来店させることが年々難しくなっている(内閣府男女共同参画局:就業者数及び就業率の推移女性の年齢階級別労働力率の推移)。彼女らをターゲットとする産業には、対面接客やオフラインでの体験を最大化して来店メリットを大きくするとともに、オプチューンやエアークローゼットのように時間や空間の制約を取り除くことが求められる。その実現には、IoTやAIの活用は欠かせなくなる。

また、このサービスはそれだけではない。利用規約には、スマートフォンアプリで取得する肌の調子や睡眠履歴などのパーソナルデータを、オプチューンのサービス提供のためだけではなく、資生堂の商品開発やマーケティング開発にも利用すると記載されている。資生堂は、オプチューンを通し、化粧水がどのような状況で使われたのか、どのような変化を促したのか、詳細データを得られることになる。これは同社にとって宝の山となる。オプチューンの利用料は月額1万円と、なかなか手が出にくいサービスになっている。これは、サービスの品質に対する自信とともに、気軽に加入して中途半端な利用となってデータにノイズが入ることを避けた、利用者を絞り込むための意図的な値付けなのかもしれない。

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