学習も端末で行うようになるエッジAI

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GASKETでは今まで何度かエッジAIについて、動向や意見などをお伝えしてきた。今まで述べてきたことと少しダブってしまうが、ちょっとだけサマリーを復習させていただきたい。

  • RaspberryPi、TinkerBoard、Jetoson nano など、エッジデバイスの高速化、高機能化が進んでいる。
  • コンピュータビジョンはプライバシーの問題から、特に人の生動画などをサーバにUPすることはコンプライアンス的にも厳しい
  • 幾ら高速回線でも、デジタルサイネージのコンテンツを瞬時に切り替える、みたいな要求にはレイテンシが問題になる。
  • IntelのMovidius NSC2など非力なCPU,GPUを助ける演算ユニットが存在する。
  • RaspberryPiのGPUをアセンブラでコントロールできる技術を持つベンチャーも登場してきた。

大まか、こんな理由から、エッジAIは確実に主流になっていく、というのがGASKETの立場であった。そしてそれは今も変わらない。そしてこれまで学習モデルの生成は高速なGPUを積んだマシンで行い、その学習データをエッジに送り込む、なぜなら、学習部分に関してエッジデバイスはまだまだ遅いからだ、という説明をしてきた。

だが、人類は凄い。どうやらエッジAIでも学習もエッジデバイスでやってしまえ、という流れが出てきている。もちろん、様々な条件の制約はまだまだあるし万能ではない。しかしエッジAI上での学習は厳しい、というのはそれほど時間をかけずに解決するだろう。

オムロンと制御機器向けAIエンジンの共同開発を発表しているベンチャー企業のエイシングは「組み込みAIでも学習を」と謳っている。彼らが提唱する「DBT(ディープバイナリーツール)」は、ディープラーニングが得意とする画像データを扱うには不向きだが、IoTデータの大半であるセンサーデータの処理などではRaspberry Piレベルのハードウェアやマイコンでも学習が可能だとしている。

ルネサス エレクトロニクスは、動的に再構成が可能なプロセッサ技術「DRP(Dynamically Reconfigurable Processor)で組込用途、すなわちエッジ用途で現在は学習ではなく推論性能の向上を目標にしているが、数年以内で現在と比べ処理速度を1000倍まで向上させ、エッジデバイスで学習自体も可能であろう、としている。

現在エッジAIは何となく機器組込とは別な響きを持っていたが、多分2年以内に、この技術を実装できない機器組込向けの会社、エンジニアは生き残りが厳しいことになるだろう。

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