NHK技研公開2019 Vol.02 地上4K8Kモノ

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今年の技研公開のおそらく目玉なのだろうと思われる技術は、HEVCよりも効率的な圧縮が可能な映像符号化方式「VVC」ということになるだろう。

VVCとHEVCの性能比較データ
性能向上の理由の一つがこのブロック化する単位がデー状況に応じてフレキシブルにできるため
VVC(上段)とHEVC(下段)の比較。ビットレートはどちらもおよそ28Mbps

符号化技術は当然ながら日々とは言わないが着実に進歩を続けている。今回もこれまでのHEVC、H.265に対して最終的に30から50%くらいの効率化をはかれるという。これはおそらく実は逆算であって、つまり地上波の周波数帯域でどうにか8Kを伝送したい、というところから来ていることは明らかだ。もちろんNHKが単独で進めていることではなく、MPEG、ITU-Tの場に持ち込まれる国際標準化作業だ。デジタルサイネージコンソーシアムでもITU-Tで標準化作業を行っているのでプロセス自体は理解できる。

その目標設定は分からなくはないが、そもそも帯域が少なく、波長が長いVHF帯やUHF帯で巨大なデータを無理して送る努力をする必要があるのだろうか。衛星やインターネットではどうしてダメなのだろうか。

このあたりの議論では伝播時における直線性などの電波特性と、KHz,MHz、GHzといった周波数の関係とそれぞれの帯域幅、つまり使える電波の量と言ってもいいのだが、その辺りの理解が足りていない気がしてならない。たとえば6MHzの周波数帯域を地デジのVHF帯で確保するのと、衛星のSHF帯で確保するのではまるで意味合いがちがうというか、確保できる量が違うことがきちんと理解されていないように思えてならない。

周波数帯ごとの主な用途と電波の特徴(総務省)

例えば上記の図で、横方向の縮尺と言うか幅が右に行くほど、周波数が高くなるほど圧縮されて書かれている。スペースの関係で致し方ないのだが、実際には右に行くほどにはスカに横方向に長く書くのが正しい。つまり電波の量が多い。(誤解される表現だが)

8Kは衛星を使って伝送したほうが楽勝なのだが、一方で衛星波は他にも使い道が多く、何よりも静止衛星の日本に割り当てられている軌道位置は有限なので放送に割り当てるためには「工夫」が必要である。電波の捻出のためにこっそりとBS放送がすでにほとんどフルHDではなくなっていることはあまり知られていない。(地上波と同じく横方向は1440ピクセルになってしまった)

こうした技術を見越して、地上波で8Kを伝送する実験が進められている。

実験は実験でよいのだが、2016年まで時計を戻してみたい。下記は技研公開2016における時空間解像度変換の説明ボードだ。このときも明確に述べていたわけではないが、MMTを併用することで、現行の地デジの伝送部分はそのままで、差分あるいは補足データをネットか専用のバンドを用意するかで、4Kでも8Kでも16Kでもスケーラブルに伝送できる、という要素技術をこっそり説明していたのである。

技研公開2016「時空間解像度変換」

この2016年の技研公開の資料がPDFで公開されているが、これを見るとこの3年間殆ど変わっていないことに驚くだろう。