「いらすとや」より

まだまだ選手層が薄いデジタルサイネージ業界

Digital Signage /

ところで、いらすとやさんの素材がGASKETに初登場である。GASKETでは原則オリジナル写真を使っているのだが、今回の記事ではあえていらすとやさんのお世話になることにした。それにしてもサイネージ関連の素材が膨大にあってひたすら驚くばかりだ。

こういうことを書くと、上から目線だ、生意気だと言われることを百も承知の上で、デジタルサイネージの選手層の薄さを指摘し、その対策を考えてみたいと思う。

これまた火に油を注ぐ発言なのだが、筆者は実はさほどデジタルサイネージに愛などない。なぜなら愛というものは特に盲目であるからだ。もともと放送、その後インターネットの世界で仕事をしてきたが、12,3年前に今で言うデジタルサイネージなるものを知った。その時の印象は、テレビ側の視点だったのでああ「ケーブルテレビ、あるいはCCTV(中央電視台ではない、クローズドサーキットテレビ)みたいなものね」程度の認識だった。筆者はデジタルサイネージに対して99%は別に無くてもいいものだと思っているし(世の中のほとんどが別に無くてもいいものばかりである)、盲目的では一切ない。

蓋を開けていろいろ調べていくと、これがなかなか奥が深いことがわかってくる。放送とネットの狭間で、メジャーなプレイヤーも不在だったし、今でもそれは変わらない。一時期グーグルが本気出すのかと思われた時期もあったが、そうなはらなかった。CESのグーグルブースでは、かなり大々的に展開をしていた頃、クロームボックスの登場する1年前の話だ。そのころ「街に飛び出すインターネット」というキャッチコピーを使いはじめ、それまでのサイネージ業界から、インターネット業界の人を巻き込もうとした。当時のサイネージ業界は、筆者も含めて、高年齢の業務用AV機器と屋外広告の人たちしかプレイヤーが不在だったので、どうしても若くて勢いのあるネットの人たちの力を借りる必要があったからだ。そしてその力は従前の人たちとは比較にならないほど規模が大きく、潜在力があるからだ。

その成果として、制約はあるがWEBベースのサイネージはこうした人々の参入を促し、その先のアプリ業界の一部を取り込むことができた。そしてやっと楽天を始めとする当時の言葉で言うO2O、いまならOMOの中心になれるプレイヤーが目を向けてくれるようになってきた。そのために今年のDSJ(デジタルサイネージジャパン)では、NextRetailingという新企画をなんとしても行う必要があり、素晴らしいボードメンバーのおかけで、明確に今後の指針を示すことができたとと思っている。

非常にシンプルに言うと、これまでの業務用AV機器業界と看板業界だけだった状況に加えて、AI、IoT業界とリテール業界を巻き込む、非常に大きな規模で考えるということだ。単語だけ並べさせてもらえば、スマートシティーからMaaSまで全てに波及する。筆者が鉄道のサイネージに参入するのは、そこ以外に目的などない。

デジタルサイネージジャパンをナノオプト・メディアの大嶋さんや藤原さんにお願いして始めたのは確か12年前だ。当時としては珍しかった、会場内でセミナーを開催し、それも無料でという提案に賛同していただき、市場を創る、仕事を創るという目的に向かって継続拡大を続けてきた。

しかし、同じことを10年以上続けていても、少なくともこうした領域ではデメリットばかりが目立つようになる。

例えばDSJのセミナーは、この5年位はもはや「伝統芸能」の領域になっている。言っておくが伝統芸能というのは決して否定的な意味で使っていない。歌舞伎や浄瑠璃などの伝統芸能は言うまでもなく素晴らしい。こうした伝統を守りつつ、新しいものを開拓していなないといけないと言うだけのことである。

こうした点から見ると、デジタルサイネージは周辺の業界の人々の力がもっともっと必要だ。どちらかと言えば地味な人達が多いデジタルサイネージ業界には、以前から言っているように「スター」が必要だ。もしもスターがいなければ、持ってくるか作るしかない。

多分今度のデジタルサイネージのキーワードは、「街に溶け込むインターネット」になっていくだろう。最高にいいコピー、いやスローガンかも知れない。別に筆者が作ったわけではなく、今年のNextRetailingのセッションのタイトルやその解説文、「アフターデジタル」という書籍に書かれている近未来の世界観から、「街に飛び出すインターネットから街に溶け込むインターネットへ」と組み合わせて使うのがいいと思う。

前述のボードメンバーを見てもらうとわかるが、かなり別の世界から人が集まってきた。既存の屋外広告だけの人からは理解できない部分があるのは十分承知している。それでも、全体としてデジタルサイネージ(と呼ばれるようなものは)今後ますます重要になり、当たり前になる。本当はデジタルサイネージに変わる新たな名前を考えたほうがいいとずっと思っているし、それが見つかった時には、まずはデジタルサイネージコンソーシアムを発展的に一旦リセットしたいと思っている。