実録「株式投資型クラウドファンディング」第5回~株式会社グローバルゲイツ~

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このシリーズでは株式投資型クラウドファンディングのプラットフォームGoAngelの資金調達実例を紹介している。今回は、ホテルのファシリティマネジメントを専業とするグローバルゲイツを紹介する。

ファシリティマネジメントには、ホテルの設備メンテナンスやセキュリティも含まれるが、グローバルゲイツの専門分野は客室のハウスキーピングに代表されるホテルや施設の清掃管理業務である。客室のファシリティはホテルにとってはお客様の満足度を決める最重要の要素。たった一本の髪の毛が部屋に残っているだけで、お客様を不愉快にさせてしまう。特にグローバルゲイツの得意先はインターコンチネンタルホテルやヒルトンホテルなど外資系を中心とする高級ホテル。高い品質のハウスキーピングが要求される。ハウスキーピング業務を実際に行っているのは主に外国人スタッフ。優れた品質を維持するとともに、事業を拡大していくためにはスタッフの採用及び教育が最も重要である。そこでグローバルゲイツでは、主に採用教育費に充当するためにGoAngelで資金を調達することにしたものだ。

2007年10月に福岡市で設立されたグローバルゲイツ。企業の販促用商材の輸入販売から事業をスタート。やがてLED照明及びデジタルサイネージの輸入販売とともに、清掃用具及び除菌消臭剤事業を開始した。オリジナルブランドによるノロウィルス対応除菌消臭剤(オリジナルブランド)の卸販売を開始するなど、環境に配慮した商材を拡充。その主力得意先がホテルの清掃管理会社である。2014年には、その得意先の事業を引き継ぎ、自らホテルのハウスキーピング事業に参入する。卸販売を行ってきたことによる価格競争力と従業員教育の徹底による高い業務品質によってホテルの信頼を獲得。高級ホテルのハウスキーピング業務の受託を広げている。

株式投資型クラウドファンディングによる株式募集では、法律で投資家に対する事業計画書の開示が義務付けられている。また開示する事業計画についてはその妥当性を募集取扱会社が審査しなければならない。すなわち事業性の審査が極めて重要となる。グローバルゲイツが開示した事業計画では、受託ホテル数の拡大によって売上高は前年実績の2.4倍。3年後にはさらに3.6倍となる急成長を見込んでいる。急成長に伴い必要となるのが、スタッフの確保と教育である。そこでGoAngelでの調達資金は、主に採用教育費に充当される計画となっている。

グローバルゲイツでは、事業目的がファシリティマネジメントにあることを明確にした上で、ホテルや施設のハウスキーピングを請け負う「クリーンBPO事業」を中核事業と位置づけ、顧客資産の価値向上に資する付帯事業と合わせて、自社の事業を以下の3事業として整理している。
(1)ホテル及び施設の清掃・管理業務の効率的運営を請け負う「クリーンBPO事業」
(2)ホテル及び施設の経済性と資産性を高める商品を提供する「トレーディング事業」
(3)ホテル及び施設の利用者の利便性向上と販促を支援する「マーケティング事業」
このうち、クリーンBPO事業が売上の95%を占めており、その中心となるのが客室のハウスキーピングである。

事業計画では、自社の競争優位性を、業務品質と価格におき、その強みとしては以下の通りとしている。
(1)従業員の約半数は外国人。日本人正社員の大半が2か国語を話すバイリンガル環境。
(2)国内外に採用ルートを構築(特に海外多種学校ルート)する多様な人材採用ルート
(3)小さい本社で低コスト。アウトソーシングを積極的に活用し固定費の変動費化を推進。
(4)少人数チームによる徹底指導。早期の現場対応力と品質の確保。
(5)輸入卸販売の強みを生かし、洗剤やユニフォームなどにおいて有利な調達コスト。
(6)代表者自らがホテルマンであった経歴。
これらの強みを生かして事業拡大を図るべく、具体的な行動計画が作成され、それをベースに数値計画が積み上げられている。DANベンチャーキャピタルでは、事業計画に対して審査質問を行い、文書で回答を得ることを通じて計画の妥当性等を審査している。対処すべき課題のうち特に重要なのが受託ホテルの開拓営業と外国人人材の確保のための方策。国内においては、価格と品質の高さの強みによる実績によって、グローバルチェーンの高級ホテルから受注が増えている点、代表者のもつネットワークにより外国人人材が確保できいる点を確認し、リスク情報に示された事業リスクがあることを前提として、事業計画の妥当性に問題はないと判断された。

グローバゲイツのGoAngelでの募集期間は2017年12月7日から2018年1月21日までの46日間。目標募集額は2,000万円であった。

株価は1株あたり50,000円。申込単位は5株(25万円)。金融商品取引法の定めで株式投資型クラウドファンディングでは、一人当たりの投資金額は、1社につき50万円が上限とされていることから、グローバルゲイツの募集においては、申込コースは5株と10株の2つとなった。なお、DANベンチャーキャピタルの募集取扱手数料を加えた募集価額は1株当たり54,320円となっている。応募いただき新たに株主となったのは49名。多くはグローバルゲイツの取引先を中心とする梅村代表の知り合いの経営者であった。

グローバルゲイツが2018年6月に開催した定時株主総会。初めて外部の株主が参加した株主総会であったが、株主の多くが自らも経営者。特にグローバルゲイツの仕事に何らかの形でかかわっている経営者が多いことから、積極的に応援する具体的提案や意見が出ていたのが印象的であった。普段の梅村代表の経営姿勢の賜物であろうが、株主にとれば、具合的提案等によって会社が発展すれば、配当金の増加や株主価値の上昇によりメリットがある。しかも、GoAngelのFamily and friends型の募集で株主となった取引先にとってみると、グローバルゲイツの発展は自らの会社の発展にもつながる。会社と株主の間にWIN-WINの強力な関係が構築されていると言えよう。

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