TOUCH-AND-GO COFFEEを使ってLINEのモバイルオーダーの可能性を確信した

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TOUCH-AND-GO COFFEE 日本橋店は、2019年6月5日に東京・日本橋にオープンした、サントリーのBOSSをベースにしてフルカスタマイズのボトルコーヒーを提供する店舗だ。企画はサントリーで、店舗運営はミュープランニングが行っている。注文はLINEのチャットを通じて行い、事前に決済しておくことで、待ち時間なくフルカスタマイズされたボトルコーヒーを受け取ることができる。

TOUCH-AND-GO COFFEE

注文するには、まずLINEでTOUCH-AND-GO COFFEEのアカウントの友だち登録を行う必要がある。そのうえで、そこでの会話(チャット)で、受取り店舗を選んだのち、ホットとコールド、砂糖の量、フレーバーなどのいくつかの選択肢を選びながら進むことでカスタマイズ内容が確定し、さらに受取時間の指定と決済を行って注文を確定させる。決済には、クレジットカードもしくはLINE Payが使える。これが完了すると、指定の時間に店舗でボトルコーヒーを受け取れる。

モバイルオーダーの画面遷移

チャットでの注文は、画像で表示される選択肢をタップしていくことで進んでいく。ステップ数は6あり、最後にクッキーなどのサイドメニューの選択もあるが面倒さはない。

コーヒーのカスタマイズ後にサイドメニューの提案が出てくるのだが、ここではLINEのカルーセルテンプレートを使っている。コーヒーのカスタマイズの選択肢ではアイコンを使っているのに対して、ここでは写真を使っていてメリハリがあり、うまいデザインだと感じた。

ボトルに貼り付けられるラベルのネームもカスタマイズできる。ラベルネーム下のカラーバーの色は自動的に割り振られるが、何度も注文したロイヤルカスタマーになると、ただのカラーバーではなく、模様が入るようになる。ちょっとしたことだが楽しい。

注文の確定は、チャット画面からウェブサイトに遷移してから行う。ただ、遷移は自動的に行われるため、ユーザーは意識する必要はない。決済方法は、LINE Payとクレジットカードから選べる。LINE Payだとキーボード操作も不要で、とても簡単だ。

注文が確定するとチャットに戻る。

注文して受取り時間近くで商品が完成すると、ロッカーのNoが送られてくる。

店舗での受取り

店舗は、商品の受け渡しを行うロッカーを挟む形で、コーヒーをボトルに詰めているバックヤードと、客スペースの完全に分離されており、店舗に入った客からは、90口あるロッカーと、注文のステータス情報が表示されるサイネージだけが見える。

6月17日現在、店舗内にはスタッフが立っていて案内しているが、これはオープン当初の混乱を防ぐためのもので、無人化する予定。

LINEに送られてきたロッカーNoを開くと、注文した商品が入っている。扉には鍵はなく、自由に開けられる。

注文したボトルには、注文時にカスタマイズしたラベルネーム、カラーバー、そしてカスタマイズ内容が印刷されている。バックヤードのボトリング時にスタッフがカスタマイズ内容を間違えず、また受取る客が異なる商品を取ってしまうことを防いでいる。

サイネージには、完成した商品の情報が表示される。ただ、9件しか表示されないため、それより以前の注文のステータスを確認できなくなる。90ものロッカーを用意していながら、直近9件のステータスしか確認できないのは不便だ。

外からは、バックヤードが見えるようになっている右側が客が出入りするスペースで、左側がボトリングを行っているバックヤードになる。

バックヤードでは、スタッフが忙しそうにボトリングを行っていた。スタッフによると、現場で行っているのは、ボトリング、砂糖の投入、フレーバーの追加のみで、そんなに難しくないが、衛生面ではかなり気を使っているそうだ。

LINEを使ったモバイルオーダーの可能性:あり

LINEを使ったモバイルオーダーは、かなりうまくできていると感じた。対話式で、なおかつキーボード操作がほとんどないインターフェースであれば、選択肢が多い注文でも、ストレスがほとんどない。LINEのチャットでも十分なモバイルオーダーのインターフェースを作ることができることを実証している。後ろに行列を待たせたなか、有人のカウンターやボタンが多数並んだ券売機で注文するよりも、ずっと気が楽だ。飲食のモバイルオーダーを実現するには、「CRISP SALAD WORKS」のようにオリジナルAppをリリースしたり、モバイルオーダーサービスのプラットフォーム「O:der」に参画したりするなど、いくつかの選択肢がある。そのなか、LINEでもここまでのUIが作れるのであれば、アプリのインストール率の高さ、LINE Payの存在、コミュニケーションにつなげていける可能性を考えると、LINEが一番手になってくるのではないか。

ただ、対話でのオーダーの設計には、十分な検討が必要だ。たとえば、松屋の店舗内にある食券機では、まず「牛めし」「カレー」「丼」「定番焼肉定食」などのカテゴリーを選択してから、具体的な商品を選択する画面に遷移するが、筆者は、値段やセットメニューなども含めて比較したいため、まずカテゴリー選択を求めるこのUIは、個人的にはとても使いづらい。どのような形で客が商品が選んでいるのか、スマートフォンの小さい画面内でどの程度の選択肢が適切なのかを十分に検討し、それに寄り添う形でないと、一覧表示よりも逆にストレスがたまるUIになりかねない。どれだけ顧客を理解しているかが問われる。

TOUCH-AND-GO COFFEEの可能性:不明

TOUCH-AND-GO COFFEEの直接的なライバルは、まずはBOSSを売っている自販機になるのだろうが、これと比べて何が優れているのか。まず、提供直前にフレーバーを入れたり、砂糖を入れたりと一手間を加えているところが違いになる。ただ、ベースのコーヒーは工場で生産されているもので、自販機で販売されているものと比べて特別おいしいわけではない。160円程度で買える自販機のそれと比べて、自分好みにカスタマイズされ、ラベルも自分向けになっていて気分はいいが、そこに100円近い差額の価値を感じる人がどれほどいるのだろうか。いまは、目新しい体験となっており、SNSでバズっていることもあって記念撮影する人が多いが、それが一巡して一段落したあとに、この新しい体験が、普遍的な価値ある体験として認知されるのか、引き続き見ていきたい。

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