【CMT2019】基調講演 これからの“放送”はどこに向かうのか?~2030年に向けて~

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Connected Media Tokyoの基調講演「これからの“放送”はどこに向かうのか?~2030年に向けて~」はNHK放送文化研究所の研究主幹 村上圭子氏と同じく上級研究員 藤沢寛氏によって行われた。公演はそれぞれ異なる視点から行い、最後に2名でディスカッションをするという形式であったが、GASKETでは村上氏の講演内容を紹介しながら、GASKET的なコメントを加えておく。

講演タイトルにあるように、本キーノートの大きな趣旨は、2030年(頃)にテレビはどういう役割を、どういう仕組みで果たすのか、についてどちらかと言えば放送側、この場合はNHK文研という立場からの内容である。

講演では最初にテレビを「高齢者メディア」であると指摘し、20代以下の利用は4割であるという調査報告を示した。これは「テレビまとめ」:「放送時間にリアルタイムで見るテレビ番組」「録画したテレビ番組」「インターネットを通じて見るテレビ番組」のいずれかに接触した人の合計が20代では40%という結果からである。なおこの中の「インターネットを通じて見るテレビ番組」が違法なアップロードを含むのかどうかは不明だ。

次に20代は17%しかテレビをリアルタイム視聴していないデータ。GASKET的には7から12歳の64%はマルチウインドウでテレビ番組を見ているところに注目しておきたい。20代は本当にテレビを見ていないのか、テレビは嫌いか、つまらないのか。

6月18日19時訂正 上記の記述は日本語として誤解を受ける記述なので、正しくは「20代はリアルタイム視聴でしかテレビに接触していないのが17%」という意味であります。

次が業界の構造変化の話。上部の左側が技術やメディアの変化の話、上部右が生活者のメディア接触や社会的価値観の変化の話。最下部は社会的な課題に対してメディアが同対応すべきかというNHK文研らしい問題意識である。

こうした環境におかれている放送メディアに対して、現在、あるいは今後どういう政策議論がなされていくのかをまとめたもの。これらは事実に基づくもの。

議論「されている」内容をまとめたもの。

議論「されるべき」内容を指摘したもの。赤文字が今回のキーノートの重要な指摘ポイント。ただし立場もあって明確な指摘ではない。

次のスライドは村上氏の強いメディアに対する思いが色濃く出ている一枚だ。問題意識として非常に共感できる。

これは2018年の3月に出された「総務省の高度化に関する研究開発」より抜粋したものに「地デジ4カ年計画」を併記したもの。

村上氏と藤沢氏とのディスカッションでは、ハイブリットキャストの今後とか地上は高度化に関しての突っ込んだディスカッションを期待したが、こうしたオフィシャルな場ではそれは実現していなかった。

地上高度化という議論が地上波によるテレビ放送を前提とするのであれば、その議論は、MaaSの時代に飛脚システムの高度化の議論するのと同じで、そもそも無意味で無知な議論である。少なくとも「地上4Kを実現させるかどうかを4年かけて検討します、もしも実施するとなったらそこから3、4年かけて制度化して、10年後くらいに本格スタートします。」という時間軸で考えているのであれば、もはや正気の沙汰とは思えない。来年のConnected Media Tokyoでは別の流れを誰かが作らないと、2030年には本気で放送は死滅する。