なくすを、なくす。忘れ物防止タグ「MAMORIO」が新たに無料版サービスなどを開始

AI/IoT /

BLEを利用した忘れ物防止タグ「MAMORIO」が製品のアップデートと無料サービス「お忘れスマホ自動通知サービス」と「カメラで探す」機能を発表した。

はじめに、MAMORIOのなくすをなくす仕組みを説明しておこう。スマートフォンにアプリをインストールし、MAMORIOとスマホがBluetoothを介して接続する。MAMORIOとスマホの距離が離れる、つまり置き忘れや紛失した状態になるとこの接続が遮断されるのでスマホに通知をする。

MAMORIOの接続先は所有者自身のスマホはもちろんだが、アプリをインストールしている別のMAMORIOユーザーのスマホと接近すると同様に通信が行われる。これによって、たとえばお店に財布を忘れた場合でも、他のユーザーがその付近にいれば、スマートフォンのGPSを利用(借用しているわけだが)して財布の場所を位置履歴も含めて確認することができる。

MAMORIO自体にはGPSもインターネットへの接続機能も搭載していないが、スマートフォンとBluetooth接続することで位置情報を把握することができるわけだ。さらに、全国の駅や商業施設などに「MAMORIO Spot」という端末の設置が進んでいる。これは鉄道会社の忘れ物センターなどに設置され増加を続けていおり、すでに全国で700路線が対応している。電車内での忘れ物はここに集約されるので、その際に自動的に通信が行われて所有者のスマホに通知が届く。駅の業務から見ると新たな作業は何も必要なく、遺失物が所有者のもとに帰る確率が上がるので保管コストの低減や業務負担を減らすことができる。

さて、昨日発表されたMAMORIOの新製品、サービスは以下の3つだ。
・新しいハードウエア
・カメラで探す
・無料サービス「お忘れスマホ自動通知サービス」

MAMORIO株式会社 取締役COO 泉水 亮介氏

新しいハードウエア名もMAMORIO

新しいハードウエアは従来製品と比較してBluetoothの到達距離が2倍の60mに、通信頻度が1.5倍の3.31秒おきに、電池寿命が1.5倍の1年になるなど大きくバージョンアップをしている。ここでユニークなのは製品名はMAMORIO2などではなくMAMORIOのままだということ。これは、彼らはメーカではなく「紛失防止カンパニー」であるので、ハードとソフトが一体となったなくすをなくす安心感や利便性を提供しているからだ。

MAMORIO株式会社 代表取締役CEO 増木 大己氏

カメラで探す

「カメラで探す」はセカイカメラのようにARを利用してMAMORIOの場所を特定するものだ。たとえば家の中で鍵や財布の場所がわからないということはよくあることだ。GPSでは自分の家を示しているのだが、問題はそこから先である。「iPhoneを探せ」のように音を出してくれればいいのだが、MAMORIOはコスト、重さ、電池寿命の点からこれらを搭載していない。そこで唯一のコミュニケーション手段であるBluetoothの電界強度を計測し、3軸ジャイロの傾きデータなどと合わせて画面上に位置を表示する。電界強度が強い、つまり探しものがある場所は赤く表示される。

カメラで探す機能のコツは歩きまわること
右上が二次元方向の位置を示している。動き回ることで実際の位置が絞り込まれていく。写真は名刺入れの場所が絞り込まれて赤くなり、さらに距離が近づくので赤い部分が大きくなるとその先に探している名刺入れがある。

使い方には若干コツが必要で、前述の測位を5秒とか3秒おきに行うのだが、一回の測位ではどうしても精度が高いとは言いにくい。そこで探しものがありそうな場所を歩き回ることで、三点測量のような要領で場所が絞り込まれていくのである。

お忘れスマホ自動通知サービス

「お忘れスマホ自動通知サービス」は、MAMORIOの無料版サービスと言ってもいい。MAMORIOアプリをインストールしたスマートフォンであれば、ハードウエアとしてのMAMORIOの所有の有無とは関係なく、スマホを見つけ出してくれるサービスだ。仕組みはスマホのアプリがハードウエアMAMORIOと同じBluetooth電波を発信することで、MAMORIO Spotを介して○○にありますと通知メールが届くというもの。

MAMORIO Spotの仕組み

このサービスは非常に同社にとっては非常に戦略的だ。はやりハードウエアを買ってもらうというのはそれなりに敷居が高い。そこで無料お試しサービスとしてスマホのなくすをなくすことを提供すれば、潜在顧客が顧客にスイッチしてくれることが大いに期待できる。言うまでもなくスマホはみんなが持っていて、無くしやすく、無くすと困り、アプリだけでハードウエアMAMORIOになれるという状況は強い。

また通常は無料版からスタートして有料版に移行させる、という戦略が多いが、MAMORIOは有料版でのある程度の成功を受けて、それを一層加速させるために無料版を追加するという戦略だ。

無料サービスの認知の方法と、実際になくして見つかるという体験をするには実は時間がかかるので、その前に顧客になってもらうための施策など、これまでとは異なるマーケティングが必要だ。前述の鉄道事業者を始めとする忘れ物に関わっている人のコスト低減と、見つかった時の喜びをうまく繋げることができれば、MAMORIOは更に飛躍できるのだと思う。

【関連リンク】
 MAMORIO