自動運転でヒマになった我々は車内で何をするのか問題

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人とくるまのテクノロジー展に行ってきた。このイベント自体の開催経緯も、歴史も内容も把握していないが、SNS上で気になる展示を見かけたからである。実際に行ってみるとパシフィコ横浜は大盛況。そして普段筆者が参加するような映像やIT系とは異なる客層でなかなか楽しい。

最初に紹介するのはAsahiKASEI(旭化成)の「五感でつながる車の未来」AKXYPODである。自動運転の時代になって、車の中で人は何をするのか、どう過ごすのかというテーマに正面から取り組んでいる。このテーマに筆者は非常に関心がある。今後、エンジンパワーとかタイヤのグリップとか、そういうことが意味がなくなるとまでは言わないが、そこではなくて中で何するのかということが、せっかく運転業務から開放されるのだから最も重要なことだと考えるからだ。筆者はそもそも運転免許を持っておらず、運転自体には興味が無いからだ。故に助手席歴は結構長い。

CESあたりでは自動運転になると車の中で映画が見られる、買い物ができる、仕事ができるといったコンセプト展示ばかりだが、それは本当ににそうなのかという強い疑問がある。逆に言えば、ここに対しての明確な答えがなければ、自動運転は普及しないかもしれないし、そうなるとイノベーションが停滞する可能性さえあると思う。

このテーマに自動車メーカーではない旭化成が正面から取り組んだ。旭化成は素材メーカーとして自動車にも深く関わっているので、確かに全くの門外漢ではない。

車の中で五感を大切にしよう、五感を利用しようというもの。あくまでもコンセプト展示である。こちらのコンセプト動画を見ていただきたい。

「聴く」「香る」「触れる」「見る」「味わう」この視点はこれまでの車の話っぽくなくて非常にいいではないか。

天井はディスプレイ。これはありそうでなかった。一部飛行機では類似のものが実現している。手前にぶら下がっているのは照明器具。これもなんか新しい。写真でわからないものとしては、やはり一部の車にはもともと搭載されているがアロマディフーザーがある。

この部分は天然木。当然触った感じは温かい。これらが車の未来なのかはよくわからないが、どの自動車メーカーもここまで明確なコンセプトを打ち出していなかったように想う。少なくともCES2019ではそうだった。

あまりハイテク感がない主張が逆に新しい印象だ。もうじき「無印良品の車」なんていうのもどこかで登場するのかもしれないと思った。EVとかオートモーティブ自体はひょっとするともうすでにレッドオーシャンだと思うが、移動中の体験や体験価値に関する領域は大きなビジネスチャンスがあると思うのだがいかがだろうか。

本稿のタイトル、「自動運転でヒマになった我々は車内で何をするのか」に対する答えは実は明らかで、いろんなことをするのだ。今の世界中の自動車メーカーの提案は、映画を見る、SNSをする、買い物をするというものに終始する。これは強烈な既視感がある、そうなのだそれは初期のスマートテレビの議論と同じではないか。テレビを見ながら画面横にツイッターのタイムラインが流れるみたいな話と同じだ。そして実際には全くそうなってはいないではないか。

これからのモビリティ空間の中での過ごし方、とりわけビジュアル面についての議論や検討がこれからもっと盛んになることを期待している。

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