ホーチミンのジャパンドラッグストアにベトナム富裕層が集まる理由

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先日、ベトナムのホーチミンを訪れたが、この街の成長は著しい。ホーチミンのメインストリートにはエルメスやグッチなどのブランドショップが軒を連ね、日本からも高島屋が進出している。

実際、2018年のベトナムの実質GDP成長率は7.1%となり、この10年間の経済成長率は平均6%を超えるほどで、ASEANの中でもベトナムは注目を集めている。経済成長には人口の増加が重要なファクターになる。現在のベトナムの人口は9,600万人を超え、世界14位になっている。2026年には人口が1億人以上になり、2040年頃には日本と同規模の国になると予想されている。今後しばらくは人口ボーナス期が続き、ベトナム経済は順調に推移するはずだ。

アメリカの調査会社のWealth-X社が発表した世界の富裕層に関する報告書『ハイネットワースハンドブック2019』よると、100万USドル(約1億0900万円)以上3000万USドル(約32億8000万円)未満の資産を保有する富裕層人口の2018~2023年における予想年平均増加率ランキングが発表されている。その中でべトナムは+10.1%で世界4位にランクインし、富裕層の増加がデータからも裏付けられている。

ホーチミンというと1区が観光の中心エリアになり、外国人向けのショップやホテルはここに集中する。最近では不動産の開発が進み、1区の隣の7区が注目されている。ここは富裕層向けの住宅が広がり、1億円を超える物件が立ち始めている。ここではマイバッハやフェラーリなどの高級車を目にすることも多く、ベトナムの富裕層が増加していることを実感できる。

この7区で富裕層向けに、日本から輸入した食品類や雑貨類、衛生用品などを販売する「Japan Drug Store thế giới hàng nhật(ジャパンドラッグストア)」が出店を続けている。ベトナムでは粗悪品や偽物が数多く流通しているため、日本ブランドへの信頼は高い。また、日本旅行がブームになる中で、日本製品への関心も高まっている。

ジャパンドラッグストア

日本政府観光局(JNTO)の発表によると、2019年3月の訪日ベトナム人の数は、前年同月比+35.9%増の4万7900人で、2018年3月の3万5235人を約1万2600人上回り、3月の過去最高値を更新した。2012年1月から7年3ヶ月連続で各月の最高値を更新している。特にベトナムの富裕層は日本旅行を何度も体験し、日本製品のファンになっているのだ。

ECサイトで日本の商品が人気!アジア6カ国のショッピング調査

アジアの”日本好き”の人たちへの調査でも、ベトナム人の日本製品好きが明らかになっている。自国のECサイトで日本の商品の購入経験を聞いた質問では、一度でも購入したことがある人は、台湾が最も多く79%であったが、2位はベトナムの69%で、香港(54%)、インドネシア(56%)、マレーシア(58%)を大きく上まっている。5回以上のリピーターもベトナムで32%となり、日本製品が受け入れられていることがわかった。

Japan Drug Storeは現在は7区を中心に13店舗をドミナント出店し、ホーチミンの富裕層から支持を得ている。彼らは高級車で店に乗り付け、酒や雑貨、食品などの日本製品を大人買いしているそうだ。年内にはハノイにも出店を予定するなどJapan Drug Storeは攻めの経営を続けている。

経営者の栗本光治氏にホーチミンでお会いしたが、3月下旬にベトナム国家証券取引委員会へ店頭公開のための申請を行ったそうだ。これは日本人初の快挙で、Japan Drug Storeの認知も高まり、同社の追い風になるはずだ。今後はオンラインストアを強化し、ベトナムでの日本製品のシェアを高めることを目標にしている。日本のマーケットが縮小する中で、シンガポールやタイに進出する企業も増えているが、人口増加で経済成長が続くベトナムも今後は、選択肢になるはずだ。富裕層にフォーカスした栗本氏の動きにベトナム進出のヒントがあるように感じる。