画像分類レジはパン屋には向いているがコンビニには適さない

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コンビニで無人レジが導入されるケースが増えてきた。そのほとんどは、店員のかわりに客がバーコードリーダーを操作して決済する仕組みだが、東京・浜松町にある生活彩家 貿易センタービル店では、カメラとAIによる画像解析を用いた「無人AIレジ」を2019年4月から試験導入している。

システムは、サインポスト社のワンダーレジ。光源となるライトボックスのうえに商品を乗せると、上部に設置されたカメラで商品を撮影して商品を認識する。

実際に商品をレジに載せた様子がこちら。どの程度の認識能力があるのか、もっと乱雑に置いて試したかったのだが、現場に常駐しているサインポスト社のスタッフに丁寧に整理されてしまった。

商品が認識されるまでの時間は2、3秒程度。商品一覧が表示され、内容を確認してから画面横にあるFelicaリーダーで決済を行う。筆者が試したときは、おにぎりを分類できず、再読み取りが必要となったが、2度目で正確に認識できた。

1回目はおにぎりを一つ認識できなかったが、2回目は正確に認識できた。
1回目はおにぎりを一つ認識できなかったが、2回目は正確に認識できた。
画面右側にFeliaリーダーが取り付けられており、交通系Felicaで決済する。
画面右側にFeliaリーダーが取り付けられており、交通系Felicaで決済する。

商品の認識は、いくつかの方法を重ねて行っているようだ。画像分類のほか、テキストを認識していると思われるパターンもあれば、貼付されたQRコードを使っていると思われるものもあった。たとえば、各種おにぎりや、包装が酷似している商品を同時に読み取りしたが、正確に認識できていた。

画像分類では、この2つの袋を正確に分類するのは難易度が高いが、正確に読み取っている。
画像分類では、この2つの袋を正確に分類するのは難易度が高いが、正確に読み取っている。

商品の一部には、QRコードが貼付されている。新製品の入荷時など、学習データの生成が間に合わなかった製品を正確に認識できるように貼付しているようだ。コンビニのような商品の入れ替わりが激しい業態で、さらに単店舗での画像解析導入の手間を感じさせる。

いくつかの商品にはQRコードもあった。画像分類が困難なだけでなく、新製品で学習データが間に合っていないのかもしれない。
いくつかの商品にはQRコードもあった。画像分類が困難なだけでなく、新製品で学習データが間に合っていないのかもしれない。

なぜサインポスト社と生活彩家では、画像分類を使うのだろうか。ライトボックスのうえに商品を置き、真俯瞰で撮影した画像を使って商品分類を行い、レジ業務の負荷軽減や無人化を実現しているのは、パン屋向けレジBakeryScanと同じだ。しかし、パン屋では、多くのパンが個装されていないためにバーコードやタグを使えず、画像分類を使う必要性があった。しかし、コンビニの商品は個装され、メーカーによってバーコードがつけられているため、画像分類は必須ではない。実際、無人レジのほとんどが、バーコードリーダーを使っており、それで問題なく運用できている。それでは、「バーコードに比べて優位性があるのか」ということになるが、生活者視点では感じることができなかった。バーコードリーダーであれば、袋詰とバーコード読み取りを同時に行えるが、ワンダーレジは「ライトボックスにすべての商品を並べる」ステップが追加されるうえ、並べ方に注意が必要、しかも認識率が100%ではない。手間の多くなるし、時間もかかる。

また、導入する店舗にとっても手間が大きい。バーコードであれば、メーカーのJANコードをそのまま使えるが、画像分類を使うには、学習データを流通側で都度準備しなければならない。とくに、商品の入れ替えが多いコンビニには向かないのではないか。

今回の実証実験では、レジのすぐそばにはサインポスト社のスタッフ2名が常駐しており、使い方をサポートしている。同社のJR赤羽駅の無人コンビニの実証実験でも、同社は常時スタッフを貼り付けて商品入れ替えや客の整理を行っており、現場で運用して知見を蓄積しようとの強い意気込みを感じられる。しかし、ほぼすべての商品にバーコードがつけられ、商品の入れ替えが多いコンビニのレジで画像分類を使うのは、適切な技術の選択とは言えない。八百屋や魚屋、食堂など、バーコードが使えないシーンでなければ、同社の優れた技術も無駄遣いになってしまう。