ベッカーズの事前注文はMaaSを視野に入れている?

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2019年1月から、ベッカーズの一部店舗では、ウェブサイトからの事前オーダーができるようになっている。モバイルオーダーとペイサービスのプラットフォームサービスO:der(オーダー)を提供する株式会社Showcase GigとJR東日本スタートアップの資本業務提携を受け、JR東日本グループの駅ナカ施設の混雑緩和やキャッシュレス化を図る取り組みのひとつだ。

O:derはオリジナルのモバイルAppによる事前オーダーサービスを提供しているが、今回の実証実験では、ウェブサイトからの注文になる。

O:derのAppではなく、ウェブサイトからの注文になる。
ウェブサイトでの注文だが、カートの中身が常時表示されるなど、ユーザビリティは高くわかりやすい。
受け取り時間の指定は20分単位。サービス開始時間が10時30分なのに、選択肢には10時20分、10時40分と並んでいて戸惑う。
予約には事前決済が必要になる。クレジットカードを登録する。SuicaなどのJR系のサービスに限定されていないのはうれしい。
決済が完了すると、予約番号が発行される。とくにQRコードなどはない。

10時40分受け取りで予約したが、その時間を過ぎても調理完了のメールは届かず、ウェブの画面に表示されるステイタスは準備中のままだった。とくに待ち客もいなかったためにスタッフに声を掛けると、注文していたホットコーヒーやアイスコーヒーを入れはじめ、2分もかからずに商品が提供された。

受け取った後もウェブ画面に表示されるステイタスは準備中のままで、1時間後に受け取り完了メールが届いた。リアルタイムには各注文のステイタスを更新できていないようだ。

受け取り後の11時過ぎに画面を再読込しても、ステイタスは準備中のままだった。

完全なskip the lineを実現しているCRISP SALAD WORKSは、ピックアップする時間帯を「11時から11時30分」「11時30分から12時」などの30分枠で指定してその時間帯に店に行けば、店員に声掛けする必要もなく、棚に置かれた注文の商品を勝手にピックアップするだけだった。しかし、ベッカーズでは、ホットコーヒー、アイスコーヒーなどをスタッフがいれるため、そう単純にはいかない。結局はスタッフに来店を告げてからの手配になっているようだ。これでは注文時の行列は避けられるが、受け取り時には待たされることになり、片手落ちに感じる。ドリンクはセルフサービスにする、ステータスを更新していくなど、オペレーションすべてを事前注文に合わせて設計しないと、このような小さな齟齬が発生してしまい、サービスとして中途半端になってしまう。

もちろん、事前注文によって注文と決済の行列には並ばなくてもよいため、その分の改善にはなっている。言葉どおりに「駅ナカ施設の混雑緩和」だけが目的であれば、これでもいい。ただ、JR東日本での取り組みである以上、今後のMaaSに食を組み合わせたときのことも考えているのだろう。そう考えると、ちょっと物足りない。いまのままでは、乗り換えの途中に食事やテイクアウトのために予約をしていたのにもかかわらず、ステータスが更新されなかったためにスタッフへの声がけが遅れたり、受け取りに手間取ったりすることで時間に商品を受け取れず、乗り換え先の列車に乗れないなどの問題が発生しかねない。もう少しオペレーションがシンプルな店で、鉄道事業者らしいサービスにして実証試験したほうがよかったのではないか。たとえば、新幹線に乗るために余裕を持って家を出たのに、東京駅で弁当を買うのに手間取ってしまってホームに駆け上がることが多い私は、マラソンの給水所よろしく、在来線から新幹線に乗換える動線上に崎陽軒のシュウマイ弁当を渡してくれるサービスがあればうれしいのだが……。

また、今回の実証実験では、O:derのシステムを使いながら、O:derアプリ経由ではなく、ウェブだけで注文を完結できるよう点に好感を持った。クレジットカード登録の手間はあるが、個人的にはアプリインストールよりも敷居が低い。PayPayやLINE Payなどのペイメントサービスでより決済が簡便になれば、Appよりもウェブを選択する店が増えるのではないか。

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