UberやGrabに出資し、変化を選んだトヨタの凄み

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先週4月19日にトヨタ自動車はデンソー、SVF(ソフトバンク・ビジョン・ファンド)共に、Uber Advanced Technologies Groupが基となる新会社に10億ドルを出資すると発表した。内訳はトヨタとデンソーが6億6700万ドル、SVFが3億3300万ドルとなっている。

トヨタは昨年8月にUberに向けて5億ドルを出資を行なっている。トヨタのミニバン「シエナ」をベースに、高度安全運転支援システム「Toyota Guardian」とUberの自動運転システムを連携させることで、両社は合意している。自動運転のライドシェア車両を開発し、2021年にUberのライドシェアネットワークに導入する予定なのだ。

アメリカで自動運転システムにトライしているトヨタだが、東南アジアでもSVFと共に積極的に動いている。シンガポールに本社があるライドシェアカンパニーのGrabに10億円の出資を行なっているのだ。Grabは東南アジアの大都市での交通渋滞を緩和する、より効率的な交通ネットワークの構築すると同時に、ドライバーの収入拡大を支援するためにトヨタから出資を受け入れたのだ。

驚くことにGrabのドライバーの3分の1は、自分の車を持っていない。Grabは車を自前で用意し、ドライバーに貸し出し、売り上げの中からレンタル料を取るモデルを採用しながら成長しているのだ。

自動車業界におけるグローバルリーダーであるトヨタによる出資は、新たなモビリティソリューションの導入に加え、GrabFoodやGrabPayといったO2Oモバイルサービスを拡大するというGrabのリーダーシップへの信頼の証左です。Grabは東南アジアにおいてはじめてランレートが10億米ドルに達したテクノロジースタートアップ企業であり、1億回を超えるモバイルアプリのダウンロードを達成しています。Grabの収益、ユーザーベースにおける急速な成長は、東南アジアのような多様性の高い地域において、Grabが極限まで地域に特化し、最も効率的なプラットフォームを提供していることを証明しています。(GrabのプレジデントであるMing Maa)

シンガポールのGrabの配車サービスで使われているドライバー向けレンタカーは、コネクティッドカーで、モビリティサービスプラットフォーム(MSPF)によって車やドライバーのデータが収集されている。このデータを活用し、トヨタはGrab向けのコネクティッドカーの開発だけでなく、様々なサービスを提供しようとしている。

MSFPを活用することで、車の稼働状況、車やドライバーの状態、運転サービスの品質までわかり、新たなサービスの開発が行われている。実際、シンガポールの保険会社によって、Grabの車両に対し、走行データ連動型自動車保険を提供しはじめた。Grabが展開する東南アジア全域で、メンテナンスサービス、コネクティッドサービスを拡大するために、トヨタは本気で動いているのだ。

Grabの車のデータを見るとその稼働率に驚く。トヨタコネクティッド社長の友山茂樹氏のPRESIDENT Onlineのインタビューによると一般の車の稼働率はおよそ4%だが、Grabの車の稼働率は30%以上になっている。こういったデータを積み重ねながら、トヨタはメンテナンスでも新しいビジネスをスタートさせている。

コネクティッドカーの時代にUberやGrabに出資したトヨタは、大量のデータを収集しながら、確実に新たなビジネスを起こしている。大企業はイノベーションを起こせないとよく揶揄されるが、トヨタはSVFと組み、UberやGrabに出資することで、その呪縛から必死に逃れようとしている。UberやGrabが集めたデータがトヨタの資産になり、次世代自動産業でも中心的役割をトヨタは担いそうだ。