ロードサイドでの天候連動のダイナミックサイネージ

【DSE2019】Vol.08 Why Doesn’t Dynamic Content Work Yet? まだダイナミックサイネージやってないの? 

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DSE2019特集の最後は、ダイナミックサイネージに関するセッションを紹介したい。セッションのタイトルは「Why Doesn’t Dynamic Content Work Yet?」で、勝手に、意図を持って意訳すると「まだダイナミックじゃないサイネージで消耗してるの? 」みたいな感覚ということころだろうか。登壇者はInterstate Outdoor AdvertisingのJAMES THOMAS氏だ。

このセッションでは、動的なコンテンツを利用してデジタルアウトオブホーム(DOOH)分野での売り上げを向上させるための課題を概説し、分析し、デジタルサイネージ業界がこれらのコンテンツテクノロジの採用と活用に時間がかかっている理由を詳しく説明し、 インパクトがあり革新的なデジタルキャンペーン実現を図ることが目的である。

ダイナミックサイネージの定義としては、リアルタイムデータに基づいたもので、SNSやインターネットからのXMLデータなどと、ローカルオフラインデータの両方があるとした。このローカルオフラインデータについては、センサーやカメラについての言及はなかった点が気になるところではある。こうしたデータを活用して、対象オーディエンスの体験を最適化する広告を作成するものがダイナミックサイネージであると定義した。

その上で、実例として化粧品メーカーであるOKAYの事例を紹介した。これはリアルタイムの天気に連動したスキンケア情報を提供するというもの。そのために天候と時間に応じて21種類の情報を提供した。コンテンツ内容は次の写真にあるような現在の天気、ビューティー関連情報、該当商品の画像、キャッチコピーである。

非常に興味深い話は、こうしたダイナミクサイネージの企画があったにもかかわらず、(間に入っている)広告会社は、ダイナミック対応はしないので通常のコンテンツを使うように指示してきたそうである。これがその際のメールのコピーだ。こういうものを示したことでプレゼント会場は大いに盛り上がった。

ダイナミックコンテンツは使わないという、広告会社からの指示のメール

しかし、THOMAS氏は粘り強く話し合いを行い、結果的にはダイナミックコンテンツを表示することができたとのこと。

コンテンツは現在の天気、ビューティー関連情報、該当商品の画像、キャッチコピー
ロードサイトのサイネージに掲示されている様子
下部にあるのは差し替えられたダイナミックではない「一般的な普通のコンテンツ」

結果として、クライアントは1週間後にすべてのコンテンツをダイナミック対応に切り替えたという。

これらのことから得られた知見は、ダイナミックコンテンツが機能しない場合にクライアントは保守的になりがちであると言うこと。またダイナミックコンテンツの採用や運用は、既存の業務フローやメディアプランニングに大きく影響をするので、疎ましく思われがちであることだという。しかし、メッセージ伝達効果はダイナミックコンテンツが遥かに大きく効果があるとのことだ。

セッションの結論としては、(ダイナミックサイネージのような)効果的なサイネージに対して、業界はもっと積極的になるべきだということ、可変パターンの複雑さ、種類の多さは重要であるということ、ダイナミックサイネージに関連する技術とその利用方法はある程度パターン化されるべきだろう、とのことだった。

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