人気アーティストを学習した「AIアーティスト」が活躍する未来

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2016年4月、代表的な画家であるレンブラントの「新作」が発表された。これは過去にレンブラント本人が作成した作品が新たに発見されたのではない。レンブラントの作品をディープランニングで分析し、3Dプリンターを使って作り出されたものである。そのクオリティは本物さながら。AIの技術の進歩の脅威を感じるほどである。

今後、このように実在するアーティストの作品をAIに学習させ、様々な「オリジナル」作品を作ることが可能になってくるだろう。AIアーティストの幕開けに期待するとともに、現存するアーティストの権利がどう変わっていくのかが気がかりである。

まずは著作権に着目していきたい。著作権が発生するようなアーティスト作品でも、AIに学習させるということが目的であれば、その学習させたAIデータを配布しない限り著作権侵害には値しない。つまり、どんな有名なアーティストでもレンブラントの「新作」のように好きに学習させ作品を生み出せるのである。個人で楽しむ分には問題ないが、それを公開したり、販売して利益を得る場合にはどうなってくるだろうか。

そもそも、どういう場合に著作権は認められるのか。それは、「人の思想や感情を創作的に表現していること」が必要なのである。その場合、AI作品の著作権について以下の2種類に分かれてくる。

パターンその1。あるアーティストのデータを学習したAIに、人間が創作の意図や創作的な寄与をして誕生した作品。
パターンその2。あるアーティストのデータを学習したAIに、自由に創作をさせた場合。

この場合、パターン1は人の思想や感情によって創作がされているため著作権は指示をした人のものになるが、パターン2はAIが自由に作成したもので、「人」が作成したものでないため、著作権が発生しないのだ。また、この作品はそのアーティストの作風を学習したのであり、曲をコピーしたのではないので、元のアーティストの著作権はどちらにも適応されない。つまり、パターン2の場合は誰の著作権も発生しないのだ。盗用され、どんなに拡散されてもどうすることもできない。そうなると、現在のところはこういったAIアーティストの創作に関してはモラルの問題になってくる。

モラルの視点から考えると、ある一人のアーティストだけを意図的に学習し、作品をAI主体で作成させて世の中に公表し、そのアーティストとは関係のない第三者が利益を得る場合問題となる可能性がある。しかし、例えば絶大な人気を誇る人気アーティストを3名セレクトし、コラボ作品を作る場合はどうであろうか。特定の一人のアーティストの作風だけコピーではなく、化学反応を起こした新しいアートであるという考え方もあるだろう。現在でも完全に人だけの手によって有名なアーティストの作品を意図的に切り貼りした作品は存在するが、それは著作権としては問題となっていない。多くの人に受け入れられているが、それはその切り貼りをした人自身のセンスが織り込まれているので話は別になる。学習したアーティストのデータのみでつくられているのだから、AIのセンス、AIの創造力で作られたのではない。不特定多数のアーティストをもとに学習させればそこまで問題視されることはないだろう、ならばいったい何人くらいまでだったら許されるのだろうか。

現在のところはまだAIによって技術的に莫大な利益を得るような、クオリティの高い作品が大量に生まれるような技術まで進歩していない。しかし、今後このようなAIの学習を安易にできるようになった場合、アーティストを守るための法整備が必要になってくるだろう。