イギリスのファストファッション「MISSGUIDED」から学んだこと

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昨日、イギリスに数年間住んでいた友人から、MISSGUIDEDと言うブランドを教えてもらった。全く知らないブランドだったので、早速調べてみたが、このイギリスの新興ブランドから私たちは多くのことを学べる。

同社はイギリスのファストファッションブランドで、若い女性から絶大な人気を博している。創業者のNitin Passiは、2008年のリーマンショック時の景気後退期に設立した。価値重視の小売ベンチャーをオンラインで立ち上げるためのタイミングとしては最適で、設立からわずか10年で大人気のブランドとなった。現在では、イギリスだけでなく、アメリカ、 フランスをはじめとしたヨーロッパ、オーストラリアでも店舗が展開されている。

ビヨンセ、ニッキー・ミナージュ、テイラー・スイフトなどのセレブも愛用しているこのブランドはとにかく最新のトレンドを上手につかみ、短期間で製造販売を行っているのが特徴だ。生産拠点をイギリスに置き、顧客市場に近づけることで、デザインと製造のプロセスをスピードアップさせている。ファストファッションなので価格も絶対的に安い。

彼が起業した時には、まだ多くのファッションブランドは製造販売に多くの時間をかけていた。半年間のリードタイムで洋服を作っていたため、若者からはあまり支持されていなかった。彼はより若い世代向けのファストファッションをスタートすれば、成功できると考えたのだ。当時のイギリスにはASOSしか競合がなく、彼らはそれなりに成果をあげていたので、5万ポンドを借金して、2009年にMISGUIDEDのサイトをオープンした。しかし、製造を海外で行うことがリスクであることに気づき、すぐに方向転換を行った。アジアでの製造を減らし、イギリスに生産拠点をシフトしたのだ。

彼らはスピードを強みにすることで、ファッション業界を変えてしまった。強固なサプライチェーンを築き、イギリス国内で企画、デザイン、製造を行うことで、リードタイムを10日前後に短縮したという。近くに製造拠点を持つことで、毎月大量のアイテムを販売できるようになったのだ。有名人が着ているファッションからインスパイアされた洋服が短期間でどんどん作られていく。このスタイルが若者に受けたのだ。

自社でのデザイン、国内製造、撮影、オンラインでの販売を短期間に行うことで、同社を競合のファストファッションメーカーとの差別化をはかっている。彼らはグローバル化にも力を入れている。16歳からの34歳の女性が求めるものは似通っていることを見つけたのだ。セレブの口コミを活用することで、アメリカの若者からも評価されるようになったという。ニコール・シャージンガーとのタイアップでブランドが若者たちに一気に認知されたのだ。instagramTwitterの活用もうまく、まさに時代にフィットしたブランドであることがよくわかる。ソーシャルメディアを駆使することで、若者のエンゲージメントを高めているのだ。

彼らはリアルタイムに売上をチェックしながら、スピーディに商品を改善している。その強い商品を現在では海外向けに販売している。オンラインで15ポンドを支払えば、南米やアジア、日本からの購入も可能だ。わずかな時間で作った洋服を、世界中の消費者が着る時代になったのだ。

スピードと商品を安く作る仕掛けを真似すれば、日本のファッシィオンメーカーもオンラインで世界と勝負できる時代になった。島国イギリスの移民が始めたMISGUIDEDのビジネスモデルは日本の起業家にとても参考になると思う。Go local、Go global 、Speedをキーワードにすれば、マーケットを拡大できるのだ。生産拠点を中国やアジアに置くのではなく、自国において、デザインで勝負をする。あとはコストをコントロールできれば、十分勝負できることをMISGUIDEDは教えてくれた。

同社の売上と利益に関しては厳しい数字が出ている。前期の売上が75%の伸びたにも関わらず、2018年4月1日までの1年間の売上高は、前年同期の205.8百万ポンドに対し、215.9百万ポンドでしかなかった。利益も前年の580万ポンドから大幅に減らし、3770万ポンドの営業損失を計上した。これはマンチェスターの倉庫への新たな投資によるものだという。

確かに同社は現状困難に直面しているが、ソーシャルメディア上には多くのファンがいる。世界に広がるファンを喜ばすことができれば、再び成長できると筆者は考えている。今後の彼らの取り組みを注視したいと思う。