エストニアにはUberはないがBolt(Taxify)がある

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前回、エストニアンマフィアについて書いたが、エストニアには4社のユニコーン企業が存在する。わずか130万人の人口しかいないヨーロッパの小国から、可能性のあるベンチャーが続々と生まれている。

Bolt(Taxify)東欧版のUber)
Playtech(オンラインのカジノゲーム)
TransferWise海外送金サービス)
Pipedrive(CRM)

今日はこの中から配車サービスのTaxifyを紹介する。現在は社名・サービス名をBoltに変更したようだが、ここでは2月の筆者の体験を綴るために、あえてTaxifyと書かせていただく。配車サービスというとアメリカのUberやLyft、中国のDidi Chuxing(滴滴出行)が頭に浮かぶが、エストニアではTaxifyがマーケットを独占している。2013年に誕生した同社は、エストニア、東欧、オーストラリア、アフリカなどでサービスを展開している。Taxifyの創業者Martin VilligとMarkus Villigの2人はユニークな戦略で配車サービスを行い、現在では30を超える国でサービスを展開し、2500万人以上のユーザーを獲得し、その存在感を増している。

エストニアに到着し、すぐにiPhoneからTaxifyのアプリをダウンロードしたが、アプリの使い勝手はUberやLyftと同じだ。クレジットカードの登録をしてすぐに配車をお願いした。 Uberとの違いは現金でも支払えることだが、私は現金のやりとりが面倒なので、クレジットカードを選択した。現金はアフリカ進出のために考えた戦略らしい。

アプリに乗車位置と目的地を入力し、数分で到着とのことだったので、早速ドライバーを呼ぶことにした。しかし、私は車の到着に全く気がつかなかった。車の到着をアプリが知らせているが、私はTaxifyの車を見つけられずに困惑した。てっきり、アメリカのように個人所有の車が現れると考えていたのだが、実は違っていたのだ。1分後、タクシードライバーが私に電話をかけてきたので、ようやく目の前にいる車に気づき、乗車できた。

Taxifyはタクシーとの共存の道を選び、自社のシステムをタクシー会社にも提供していたのだ。タクシー会社はシステムを開発せずに、Taxifyユーザーに自社のサービスを提供し、 Win-Win の関係を構築している。タリン市内の移動に何度かTaxifyを使ったが、タクシーの車両も個人所有の車も3ユーロほどと安く利用でき、市民も日常的に使っていた。ドライバーの質も高く、車の清掃も行き届いていることに感心した。個人のドライバーに話しかけるとドライバーへの還元率が高く、ドライバーのモチベーションは高いとのことだ。(還元率の考え方もUberとは異なる)

Taxifyはタクシー業社と共存することで、マーケットを拡大した。2016年Uberは規制強化のため、ハンガリーから撤退したが、Taxifyはタクシー会社と協業することで、ブダペストでのビジネスをスタートした。攻撃型のUberとは異なり、Taxifyは協調型でマーケットを開拓しているのだ。

ForbesによるとTaxifyはわずか200万ユーロしか調達していないにも関わらず、黒字化を達成したという。巨大な出資を受けたにも関わらず、大赤字のUberとは経営に対する考え方が対照的だ。Taxifyはロンドンに進出し、Uberとの本格的な戦いをスタートしたが、今後どちらが覇権を握るかが楽しみだ。

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