「キャッシュレス」「レジレス」「ジャスト ウオーク アウト」は別物です

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キャッシュレスは現金を扱わないこと。レジレスはレジがないこと。ジャストウオークアウトは合法的な万引きだ。これらの優劣はさほどなく、利用シーン、規模、かかるコストによって使い分けられるものだと思う。どうもこの3つを混同されている傾向が強いので整理してみたい。

キャッシュレス

キャッシュレスというのは支払いにおいて現金を使わないこと。現金を使わないということは、電子マネーやクレジットカードなどを用いて支払いという行為をすることだ。このメリットは現金という厄介で不衛生なモノをやり取りする必要がないことだ。これによって店舗側では現金の物理的な管理、夜間金庫に行くとか、札を数えるという手間から開放される。利用者側からするといくら使ったかが現金というモノに比べるとわかりにくく、浪費しがちになることはあるだろう。

こうしたキャッシュレスは、おそらく4 、50年前からの給料の銀行振込辺りからスタートしていて、公共料金等の口座引き落とし、その後クレジットカード、さらにプリペイドカードを経て電子マネー、モバイル決済と変遷してきた。なので突然登場した概念ではなく、時間を書けてじわじわと浸透しているものだ。

現金と比較して利用者側のキャッシュレスの経済的なメリットはないのであるが、消費税増税(本当にやるのだろうか)に関連して政府が言っているような還元、割引施策が実行されるのであれば、一気に普及するものと思われる。「消費税を10%にすると税額がわかりやすくなるので消費が停滞する。いっそのこと13.25%くらいにしたほうがまだマシ」という心理的要素を指摘する声もある。であれば「本当は10%ですけど、キャッシュレス決済をしてくれたらいろんなコストがセーブされるんで消費税は8%のままでいいです」というのはアタマのいい政策だ。コンビニのイートインがどうしたみたいなギャグみたいな議論はやめて、現金は10%、それ以外は8%にしたらいい。

キャッシュレスは現金に比べて処理時間が短いので、せっかちでいらちな現代人には求められる機能だと思う。交通系IC、流通系の電子マネー、クレジットカードでいつでもキャッシュレス化できる環境は整っているはずなのに、相変わらずコンビニで現金を出す人が未だに相当数いる理由がよくわからないが、消費税増税はキャッシュレス化のいいトリガーになる。あとは扱い手数料を減らし、端末コストを実質的に下げること。ちなみに余談だが、別の国ではソーシャルスコアの存在がキャッシュレス化の背景にある

レジレス

レジレスはレジという関所がないことで、キャッシュレスとは概念が異なるものだ。だが多くの小売店ではレジレスとキャッシュレスは同じことになる。そして「注文」と「決済」の両方を利用者側アプリで完結させることができるものだ。たとえば都心部のランチタイムの弁当の注文のように、事前にアプリかWEBから注文と決済を行い、店舗では単に弁当を受け取るだけという仕組みだ。一部のマクドナルドの店舗に導入されている注文端末は、そのままスマホでも使えるようにできるはずで、調べてみたらまもなくそうしたサービスが開始される模様である。注文と決済が
レジレスというのは支払いを行うためのレジという関所を通過しない、ETCサービスのようなものだ。GASKETでもこうした事例の体験を記事にしている。

これを実現させるためにシステムは、いわゆるeコマースの仕組みでだいたい流用できるので実は導入コストはさほどかからない。

ジャスト ウオーク アウト

これは今までの2つとは全く異なる概念である。支払いという行為も、関所も存在しない。完全万引き状態で、amazon goに代表されるものだ。これもGASKETで記事しているが、amazon goが提供しているのは新しい体験、いやむしろ当たり前の体験なのだと思う。現在は入店時にアプリのバーコードを読み込ませる必要があるが、これも技術的には顔認証で無くせるようになると思う。そうなれば完全にふらっと入って商品を手にとってそのまま出ていくことができる。いつも思うのだが、顧客が何を買ったかは店が把握するべきことであって、顧客が申告するものでは本来はないはずだ。支払いに関しても月に一回、家まで三河屋のおじさんや、銀座のママが着物姿で会社まで集金に来てくれていたではないか。そう考えれば、amason goは当たり前のことをテクノロジーで実現させているだけのことである。

これを実現させるためには、カメラやセンサーをそれなりの数を設置して、高度なAI処理が必要、と思いがちである。しかしamazon goのようにコンビニのような店舗全体で行うのではなく、場所や商品を限定的にすれば、安価でできることはたくさんある。筆者が今、小売系の新規事業を立ち上げるなら、何もしないでふらっと入ってふらっと出ていける業態、商品で考えると思う。

セルフレジという愚策

3つの話をしてきた最後にスーパーやドラッグストアに導入されているセルフレジにも触れておきたい。顧客が何を買ったかを認識するために、明らかに本来は店側が行うべき購入物の特定という作業、バーコードをスキャンさせる作業を顧客に無償で行わせるのはどう考えても傲慢であり、今後は割引等が伴わない限り確実に淘汰されるものだろう。セルフレジというのは店側の省力化の話で、それ自体は必要なことであるが、それをストレートに顧客側に転嫁するのは、3つの技術が登場している現在においては全く時代遅れの産物であると言わざるを得ない。