「商品PRロボット会話実証実験」で感じてしまったコンビニの憂鬱

AI/IoT/Media /

いまや大学構内にコンビニがあるのは、特に珍しくもないだろうが、北海道大学構内にちょっと気になるお店があったので覗いてみた。全国7位の広いキャンパス(農場や演習林などを含めた敷地は断トツの1位!)のほぼ中央にそれは位置する。株式会社セコマが展開するローカルコンビニエンスストア「セイコーマート」だ。地元大手のハウスメーカー設計による。ガラス張りのスマートなファザードで、言われなければしゃれたカフェだと思う人も多いに違いない。

1階は、北大グッズが並べられている以外、商品やサービスは普通の店舗と変わらないが、2階は広々としたフリースペース、ちょっとしたイベントで使用できるオープンキッチンやキャンパスを眺めるテラスなども設置され、学生や教職員、そして観光客にも人気を博している。(写真は日曜日の午前中ということもあって、さすがに人もまばら)

実はこの店舗、既にオープンしてから半年以上が経過している。オープン当初も話題となったが、昨今、ローカルニュースなどでも取り上げられているのは、セコマ、経済産業省そして北海道大学が共同で、同・大学院の研究成果の一つとして、店舗内に対話型のロボット展示「商品PRロボット会話実証実験」をしていることだ。

通常、ロボットやデジタルサイネージを使ったインタラクティブな観光案内では「どうぞ何でも聞いてください」「知りたいトコ、タッチしてね」というスタンスとなるところだが、ここでは、2台のロボット同士の会話を聞いて、客(ニンゲン)が、商品やサービスの内容を認識するというアプローチだ。Pepper君(ソフトバンク社)とSota君(ヴィストン社)の掛け合いで、もちろん流暢な外国語での会話もなされる。会話に人間が割って入ることはできない(やろうと思えば技術的にはできるとは思うが)ので、この場合は、あくまでワンウェイの告知ということで、勝手に喋っていることを聞かせるというアプローチ。あたかも、「あそこのケーキが絶品なのよ」という話が聞こえてきて、「お、そうなのか。今度行ってみよう!」と思わせるやり方だ。会話の内容はもう少し意外性があってもよいと思う(同じ話題を繰り返している)が、特に観光客や子供を惹きつける存在となっているようだ。

ロボット同士の会話の様子はこちらで見ることができる。

さて、筆者が本誌でこのロボットの様子を取り上げたのは、この対話技術そのものや、対話を「聞かせる」アプローチが面白いということもあるが、むしろ、地域でのコンビニの使い方、活かし方について、ちょっとしたヒントになりうると感じたからである。つまりは、ここでの地域特性(大学構内)を活かして、大学の研究成果を見せる場とし、他の店と違った要素にスペースを割いたことだ。モノや情報を売る、サービスを提供する以外の「何か」だ。

統一された商品、サービスで安心感を売る、新商品でワクワク感を提供するのも悪くない。目的買いの地域住民・忙しいビジネスマンのための効率性追求、1㎡たりとも無駄にしない。それはそれで正しい。ただ、無人店舗という抜本的な運営方式の転換も実現すると、今はかろうじて存在するスタッフ(ニンゲン)の陰影も消え、ますますコンビニが効率性一辺倒、無機質で紋切り型のつまらない存在となってしまうように思える。24時間営業を取りやめる・やめないを議論するもの結構だが、その店でしか味わえない、体験できない何か(できれば営業と関係ない無駄なものがいい)を追求することが、過剰競争に晒されて疲弊する店舗を救う方向性とならないだろうか。