MWC2019に見たスマートフォンの終焉と新たな時代を考えるヒント

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世界最大のモバイル産業の展示会「モバイルワールドコングレス(以下MWC)」が、例年通り2月末に開催された。気がつけば筆者は11年ほど、ほぼ連続で参加しているが、今年も現地は「春のバルセロナ祭り」の様相で、活況を呈していた。

ただし、一部報道にあるような5G(第5世代移動通信システム)の興隆については、「そんなに簡単な話ではない」というのが第一印象だった。もっともそれは当たり前の話で、昨年の米国を皮切りに、欧州や中国・韓国で、商用サービスがスタートすることに伴う5G普及の困難さに、早々に着手した事業者や地域から順繰りに直面しているのである。

そんな今年のMWCにあって、暫定的に合意されていたのは、「スマートフォンは5Gの主たる用途ではない」ということだ。もちろん普及の初期(2019-~2022年頃)には、今回発表された折りたたみ端末のようなハイエンドスマートフォンによる市場の牽引を、多くの事業者は期待するのだろう……そのように書くと多くの読者が「え?折りたたみスマホ?あれは一体何に使うの?」と思われたのではないだろうか。

はい、その通り。折りたたみスマホは、ほとんどのユーザにとって無用の長物なのは、火を見るより明らかだ。そして反対に、現状と同じようなスマホであれば、今度は「5Gは要らない、4Gで十分」なのである。ここに、5G普及の悩ましさがある。

結論を急ぐと、おそらく今後は、3Gにおけるフィーチャーフォン(いわゆるガラケー)、4Gにおけるスマートフォンのように、世代を象徴する代表的な端末は登場しないのだと、筆者は考えている。5G以降の世界は、特定の端末といった「サイバースペースへの窓」を必要とする時代ではなく、人間の生活空間のあらゆるところが「コネクテッド」され、サイバースペースとフィジカルスペースの垣根が、概念的に消えていくのだ。

だとしたら、5G時代に考えるべきは「どんな端末か」ではない。求められるのは、私達の日常生活や習慣がデジタルトランスフォーメーションによってどう変わるか、という思考である。言うは易しで、とても難しい問題でもある。

そうした中で、世界のモバイルを牽引する、スウェーデンの通信機器ベンダー大手のエリクソンが、「2019年の10大コンシューマートレンド」を発表していた。詳細はこのサイト(外部リンク)にあるが、これがいろいろな発想のヒントになりそうなので、ここで紹介する。

01.  バーチャルアシスタント機能が近い将来「雰囲気」を感じ取る
02.  スマートデバイス同士が「けんか」する
03.  アプリによるスパイ行為が横行する
04.  同意の強制にイライラする
05.  VRやARによって日常生活のスキルを教える機能に期待する
06.  日用品を自動的に補充してくれるサービスが欲しい
07.  「思考の肥満化」に対するメンタル・ダイエットが必要
08.  エコ生活を計測・通知してくれるスマートウォッチが欲しい
09.  サイバースペースに完全性の高い自分の化身(digital twins)が欲しい
10.  5Gは家電や計測機器のIoT化を助ける

このように書き出すと、コンセプチュアルで具体性に欠けるように思われるかもしれない。しかしこのトレンドを手がかりにMWCの会場を見渡すと、トレンドやその背後にある課題の解決策を具現化したサービスやプロダクト、あるいはそのプロトタイプが、会場のあちこちで見受けられた。

もしかすると2022年頃には、MWCからスマホの姿は消えているか、主役の座を降りているかもしれない。そんなことを感じさせる、今年のMWCであった。

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