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21世紀の人類は「駅弁5.0」を目指すべきである

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JRグループ各社が、新幹線や在来線特急列車の車内販売サービスの縮小・終了を発表した。

車内販売といえば、王道はなんといっても駅弁である。実際、昭和10年度に刊行された鉄道省年報によると、食堂車が連結されていない列車での弁当類販売の要望に応えるべく、1934年から試験提供を開始し、その翌年から本格的に販売が進められたという。

本稿筆者は1975年生まれで、子どもの頃にはまだ東北新幹線は未開通だった。そのため、上野から母の実家がある山形まで、帰省のために5時間近く特急列車に揺られた。その際に何度も食べた駅弁の味を、いまでもおぼろげながら思い出すことができる。

もちろん、そんな個人的なノスタルジーから「終了反対」を唱えるつもりはない。新幹線に乗る機会は少なくないが、車内販売を利用することはほとんどなくなった。JR各社が指摘するように、乗車前に駅構内のコンビニで、駅弁やお茶を購入することがほとんどだからである。確かに、販売の手間やコストという観点では、帳尻が合わないだろう。

では、駅弁そのものは廃れているのかと言えば、さにあらず。デパートで開催される駅弁大会は相変わらず盛況のようだし、ということは日本各地に駅弁があるということだ。特に最近は食材へのこだわりだけでなく、適温で食べるための保温機能や、反対に真空冷却や差圧冷却といった高度な調理法により、おいしく冷やすことにも力を入れているという。

販売コストは合わないが、ニーズは確かに存在し、細かな品質改善の積み重ねにより、むしろ以前よりも多様化・高度化している--だとしたら、販売コストという理由だけで駅弁の提供を諦めるのは、事業機会の損失とさえいえる。趣味と実益を兼ねて、何とかならないだろうか、と考えてみた。

たとえば、駅弁を購入できるスマホアプリが、なぜないのだろうか。乗車券を写真で撮ったり、あるいはICカードの情報と連携することで、乗車中に購入可能な駅弁が一覧できる、というようなものだ。実際、駅弁はターミナル駅だけでなく、途中駅でも作られ、販売されている。停車時間の関係で買いにくいというだけで、本当はもっと多くの潜在的な機会が存在するのだ。

そのアプリではもちろん、自分の乗車車両と座席位置の情報も入力できる。列車の編成情報は概ね公開されているし、大体の停車位置も事前に分かる。そして食べたい弁当を販売する途中駅に列車が滑り込むと、自分の座席位置に最も近い乗降口に販売員が待っている。そう、昭和の特急列車で見られた、あの光景だ。

もちろん決済はアプリで完了しているので、行われるのは弁当の受け渡しのみ。だから、利用客がよほど殺到しない限り、停車時間をいたずらに延長することはない。店頭在庫や、日によって異なる弁当の取扱い品目の管理は、売店の側でセンサーやカメラを使えばいいし、それだってスマホで済むかもしれない。

冒頭で触れた通り、駅弁の車内販売には84年の歴史がある。それだけ連綿と続くニーズがある、ということだ。そして駅弁の販売方法は、おそらく下記のような変遷があったはずだ。

駅弁1.0 駅売店での手売り
駅弁2.0 乗降口への訪問販売
駅弁3.0 車内販売
駅弁4.0 付加価値化(多様化、高度化)

もしこのまま、ターミナル駅の手売りに戻るのだとしたら、それは駅弁1.0への逆行、すなわち84年前どころか100年近く前への、正しく先祖返りなのかもしれない。ニーズが失われているならさておき、むしろニーズからウォンツへと付加価値が高まる中で、これではさすがに知恵がない。21世紀に生きる人間たるもの、やはりここは「駅弁5.0」を目指してみたいところである。

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