ポストスマートフォンの姿を感じさせるOrCamのMyMeとは何か

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筆者は18年も連続でCESに参加しているが、恥ずかしながらOrCam Technologiesのブースを完全に見落とした。CESには4400もの企業が出展するので、プレスデー含めてもとてもじゃないが一人で全体を把握することは不可能だ。そのために現場ではアメリカはもちろん、日本のメディアも含めて情報収集をするし、会期中で配布されるCES DAILYというそこそこちゃんとしたプリーパーパーにも目を通す。しかしこの会社はノーマークだった。よって筆者は実機を見ていないし担当とも話していないのでこれは炬燵記事になる。

サンズのウエアラブルのエリアに出展していたようだ
CES DAILYにはMyMeのことは一切書かれていない

言い訳が長くなったが、まずはOreCam MyMeとは何かを知るためにはこちらのビデオを見ていただきたい。

Orcam MyMeはわずか17グラムのUSBスティックのようなサイズのデバイス(彼らはウエアラブルAIプラットフォームと言っている)である。日常生活に於いて常に胸元などに装着して、出会った人の顔、文字、音声をクラウドではなくエッジ側でリアルタイムで認識処置を行う。もちろんスマートフォンやスマートウオッチのコンパニオンアプリとBTかWiFiで接続し、ディープラーニングのパラメータをデバイス側にダウンロードする。価格は399ドルで、すでにKickstarterでの先行販売を199ドルで完了しており、2019年の3月に出荷される。

こうした処理が不可能ではないことを筆者は承知している。すでに決して夢物語ではない。筆者が役員に就いているビズライト・テクノロジー社ではRaspberry PiとNSC2スティックで同様のことをすでに実ビジネスで実現している。また2002年に川井拓也氏(現ヒマナイヌ)が提唱したライフスライスカメラを用いたライフスライスプロジェクトのメンバーだったし、その10年後のMemotoユーザーでもあった。これらとMyMeの違いは、ライフログという概念の拡大がAIテクノロジーで実現されることだ。当時のライフログは、デジタルカメラで写真を一定間隔で撮影するというものだった。記憶を記録するということだ。しかし写真そのものはプライバシーという壁にぶち当たる。筆者もライフスライスカメラを装着して会議などに出ると、怪訝な顔をされることが幾度となくあった。MyMeは画像自体は保存しない。さらにクラウドにもアップロードしない。GDPRの問題はあるが、こうしたAIプラットフォームがもたらす恩恵とどう折り合いをつけていくのか、AIと人間がどう付き合っていくのか、とても気になるところだ。

MyMeはリアルな生活とネット上の膨大なリソースとの架け橋になるプラットフォームになる可能性がある。スマートフォンやスマートウオッチの次に来るデバイスの姿は、おそらくこういうものになるのだろう。どう考えても毎回画面を見て適切な場所を指で触るというインターフェイスがベストな選択とは到底思えないからだ。またセキュリティ、プライバシー、トラフィックの点からエッジコンピューティングとクラウドコンピューティングの最適化が必要であるからでもある。それが今回はじめてこれらが透けて見えてきたと感じた。

OrCamの共同創業者でCTOのAmnon Shashua氏は、 現在Intelのシニアバイスプレジデントでもある。NCS2はやはりインテルが買収したMovidius社のVPUであるMyriad Xチップを搭載している。Myriad Xは例えばDJIのSPARKに搭載されている。MyMeがどういうチップを搭載しているかはネットをくまなく探してみたがわからなかった。

Kickstarterに掲載されている内部の写真

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