スマートフォンを使ったライブ事情、鍵は共有感にあり

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ライブやコンサート。好きなアーティストや好きな曲を生で聴いて肌で感じたときの感動は得がたく、同じ空間を共有出来ると非常に興奮するものだ。筆者も学生時代、よく小さなライブハウスでお気に入りのアーティストのライブにいっては跳んだり跳ねたりし、オーケストラを聴きにいってはCDでは感じられない音の洪水に飲まれ感動していた。
NTTドコモの「新体感ライブ」を実際に体験してみたので、スマートフォンを使ったライブ演出はどんな新体感があったのか、レビューしてみたい。

誰もがスマートフォンやタブレットを持つ時代。平成30年の総務省の情報通信白書によると、「2017年の世帯における情報通信機器の保有状況をみると、「モバイル端末全体1」及び「パソコン」の世帯保有率は、それぞれ94.8%、72.5%となっている。また、「モバイル端末全体」の内数である「スマートフォン」は、75.1%(前年差3.3ポイント上昇)と上昇しており、「パソコン」の世帯保有率を上回った」とされており、普及率の高さが伺える。持ち出せるスクリーンとしての利用も考えられるが、スマートフォン自体の性能が上がり、音自体のクオリティも格段に上がった。

NTTドコモの新体感ライブは、生配信されるライブをアプリで見られるというもので、マルチアングルの映像を自分で切り替えたり、TV画面にキャスティングしたり、コメント機能で実況をしたり…という試みだ。
マルチアングル機能は6台の視点から任意の視点が選べ、通常のライブ映像、ボーカルのみをアップにしている視点、アーティスト視点から客席を見下ろしている視点などから選ぶことが出来る。例えばドラムのファンであればドラムのみを追いかけている視点を選べば、ライブ中にその人だけをずっと見ているように、視界の邪魔をされる事無く、その人を見続ける事が出来るのだ。お気に入りがいる場合はとても重宝する機能である。スタンディングのライブの現場では高確率でアーティストの顔が見られない、という筆者(身長153cm)にはとても嬉しい。

通常のライブ映像の場合はTVへキャスティングが可能で、大きな画面で見ることが出来る。スマートフォンの小さな画面で見続けるのは辛い…と思っていたが、これが非常に便利で、ホームシアターなど音響環境が整っている方ならより楽しめるだろう。

この機能もかなり嬉しいが、新体感ライブでより新体感だと思ったのは、「ライブ実況」にあると感じる。通常のライブ映像配信の場合、ニコニコ動画やLINEライブのようにリアルタイムでコメントが付けられ、投稿されたコメントを見ながらライブを楽しむことが出来る。IDなどは表示されずコメントが付けられるのはニコニコ動画に似ていて、ライブ映像とコメント欄が別々なのはLINEライブに近い。

筆者はTVにキャスティングし大画面でライブを見ながらたまにスマートフォンでコメントを見ていたのだが、これが非常に面白い。気軽にコメントが付けられるので、感想というよりも「感情」を共有しているのに近い。長文を打つよりも「かっこいい」や「ら~~~(ハミングだったり合いの手だったり歌詞だったり)」などの感情に近い物を共有したり、「前のライブではこうだった」「この曲は○○だ」などの豆知識を披露するものがいたりと、実際にライブでは不可能な「その時の感情の共有」を明確にすることが出来る。これは体感してみると面白く、「アーティスト」対「個」だったのが、「アーティスト」対「個」対「全」になり、その共有の早さが非常に癖になる。映像と文字で感じる一体感。IDがないので誰が書いているかがわからないのは英断で、もしかしたら同じ人が何度も投稿しているかもしれないが、誰が書いているという余計な情報はない方がよい。誰かが「イヤホンで聴くとめっちゃ良い」と書けば「ほんとだ!ありがとう!」と返し、「明日の受験頑張る」と書けば「頑張れ!受かるよ!」というコメントに溢れ、アンコールで新体感ライブの説明があると自分たちにも声がかかっているように感じて場が沸き、終盤では「ここ(実況)のみんなでカラオケに行きたい」「みんなとみれて楽しかった」というコメントが多数ついていた。筆者はチャット全盛期に高校生だったのだが、あの時のスピード感に近い。(この「テキストだけで仲良くなる」という文化については思うところがたくさんあるのだが、長くなるので別の機会に。)正直ただスマートフォンでライブを見るだけで本当に面白いのだろうかと懐疑的だったが、この実況機能のお陰で文字通りの「新体感ライブ」を体感出来たように思う。

もちろん文字情報が邪魔という人も多いだろう。ライブは生で聴いて踊る以外認めない、という筋金入りのライブ好きがいるのも事実だ。それは否定しない。だが、スマートフォンでの感情や感動の共有は、ぜひ一度体験してみて欲しい。そしてこれは「生配信」で、映像も音質もよいのが大前提である。

NTTドコモの新体感ライブは、思っていたよりもずっと新体感だった。今後お気に入りのアーティストのライブがあれば、また体感してみたいと思う。