amazon goの体験で改めてamazonの強みを理解した!

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CESからの帰り道にシアトルに寄り、今更ながらamazon goを体験してきた。amazonはここに来て、出店を加速し、シアトルだけでなく、シカゴやサンフランシスコの店舗がオープンしている。シアトルでも4店舗を構えるようになり、今回はそのうちの2店を視察してきた。

最初に訪れたのが7th&Blanchardの店で、amazonの本社に隣接している旗艦店だ。土曜日にもかかわらず、この店が比較的賑わっていたのは、ここが相変わらず観光スポットになっているからなのだろう。amazon goアプリのQRコードを使い、ゲートから入店すると最初に目に付いたのが、amazonのロゴ入りギフト商品の数々だ。マグカップやタンブラー、チョコレートなどが一つの棚を独占する形で置かれていた。それだけ観光客や私のような視察が多いのだろう。amazonはその観光客や視察者からも、しっかりと売り上げをあげているのだ。

タンブラー$14.99、マグカップ$5.99、チョコレート$3.49。これらのギフト商品が、この店舗の客単価を実際より、かさ上げしているはずだ。実際、買い物中にチョコレートやマグカップがお土産として、いくつも買われていたことを報告しておく。

もう一軒300 Boren Ave Nという店舗を訪れることにしたが、移動中にWhole Foods Marketを見つけたので、そこにも立ち寄ってみた。

amazonが買収した一昨年のタイミングで、ニュージャージーの店舗を訪問したが、その時よりもamazon色がはるかに強まっていた。店舗の中央にはamazonコーナーがあり、KindleやEchoが目立つように展示され、体験できるようになっていた。

amazon lockerもあり、ネットでオーダーした商品をこの店舗で受け取れるようになるなど、思った以上にネットとリアルの融合が進んでいた。amazonプライム会員になると商品が安くなるという値札もここそこにあり、amazonプライムの囲い込みが行われている。

amazon goの300 Boren Ave Nはオフィス街の一階にあり、先ほどの店舗とほぼ品揃えは同じだったが、一つだけ大きな違いがあった。ここではお酒が取り扱われているのだ。イートインのコーナーを改造し、お酒を置くようになったのだ。amazonは顧客の購買履歴や行動をチェックし、マーケティングに活用し、顧客体験をよりよくしようとしている。

よく日本のメディアはamazon goを無人コンビニストアと表現することが多いがこれは正しくない。店舗にはスタッフがしっかり配置されている。入り口では数名のスタッフが、店の使い方を説明するために待機している。店内奥のお酒売り場の入り口にも、買い物客のIDをチェックするためのスタッフがいた。おじさんの私もパスポートを見せることで、はじめて売り場に入れてもらえた。

時間帯によってはデリ商品を作るスタッフがいるなど、日本で報道されている以上にスタッフがいることに驚いた。イートインのコーナーもあり、レジ以外は人を感じさせる店舗作りをamazonは行っている。

amazon goの顧客の最大のメリットはレジがないために、買い物時間を短縮できることだ。顧客はレジでの会計を待つことなしに、買い物を終えることができる。支払い体験をなくすこと、すなわち買い物体験のストレスを減らすことが、amazonの狙いだ。また、レジがないことで、より多くの商品が置けるようになり、顧客の選択肢も増える。近くのセブンイレブンはコーヒーとレジの売り場が大きかったが、amazon goではデリ商品やヨーグルトなどが充実していた。「Good Food Fast」のモットー通り、顧客は調理済みの商品を会計なしにすぐにイートインで食べられ、時間を節約できる。時短と美味しい食事の提供で、オフィス街で働く人たちの満足度をamazonは高めているのだ。

こちらの記事(Amazon Go could generate $4.5B with plan for 3K stores)によると、アメリカの通常のコンビニが1平方フィートあたりの売り上げが平均約$570。一方のamazon goはそれより$300近く高い$850という数字をあげている。しかし、まだまだ観光客や視察の多いamazon goの店舗の数字は鵜呑みにできない。実際の数字はこれより下がるはずだが、逆に数年後にはこの数字をなんなく超えてくると筆者は考えている。実験フェーズが終わり、顧客データを分析したamazon goの取り組みによって、売り上げや利益率は改善されるはずだ。

顧客は購入した品物の金額を会計時に確かめなくなるので、ここでの買い物のハードルは確実に下がる。リピーターになりやすく、ついつい余計に物を買ってしまうという店舗特性を考えれば、商品力や提案力をアップすれば、売り上げは確実に伸びていくだろう。

amazon goの店舗が増え、マーケティング力をアップできれば、競合にとって手ごわい存在になるはずだ。実際、amazon goが3000店舗になれば、amazon goはアメリカ人の買い物体験を変えるだけでなく、顧客とのコンタクトポイントの役割を担い、様々なサービスを提供する拠点になる。amazon goはamazon全体の売り上げアップにも影響を及ぼす戦略拠点といっても差し支えない。

「地球上で最も顧客中心の企業であること」をビジョンとして掲げるamazonは、そのビジョン通り絶えず顧客のために変化している。ワンクリックで買い物体験を劇的に変えたamazonは、待つというストレスをなくすために、レジなし店舗のamazon goを生み出した。利益を生まないと否定され続けたamazonが投資を続け、この20年で顧客をファンにしたことと同じことをamazonはリアル店舗でスタートしたのだ。

リアルとネットの融合をはかり、顧客の買い物体験を変え、amazonへの依存度を高めようとしてくるだろう。amazonは今後、amazon goなどのリアル店舗に、顧客体験を高めるための様々な投資をしてくるはずだ。来年のCESの際に、またシアトルに立ち寄り、店舗をチェックし、amazonの進化を体験しようと思う。

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