ゲレンデにデジタルサイネージを置けないものか

Digital Signage /

冬到来、スノースポーツのシーズンである。今年は暖冬だと言われていたが、各地で無事積雪され、筆者も新潟方面に滑りに行くことが出来た。筆者は整備されたゲレンデを滑って楽しむだけの平凡なスノーボーダーである。

その日は午後から吹雪が強まり、各所のリフトが止まったりしていたようだった。というのも、状況がいまいちよくわからない。リフトを降りて二手に分かれた片方のコースの先に係のおじさんが立っていて、この先のリフトは動いていないといっている。動いていないが、帰ってこれない訳ではないようで、止める素振りはなく、状況がわかっていない外国人はすり抜けていった。詳しく聞こうにも風が強くてお互いの言葉は聞き取りづらいし、おじさんも状況がよくわかっていないようだ。遭難することは無いと思うが、帰ってこれないのは困るので引き返したが、とても歯がゆかった。ここに大きなサイネージがあって、リアルタイムで多言語なゲレンデ情報を表示してくれれば皆ハッピーなのに、と。

サイネージを置けない理由が沢山あるのは痛いほどよくわかっている。だが、置いたらどれだけ便利かという理由も、沢山ある。

まず、今回のように人の配置で臨機応変な対応が完璧にできるかというと、そうでもないというのが実感としてある。刻々と変わる状況の中で即決断し対応している努力はさすがだが、ここ数年外国人の利用者の増加が目立つ。根っからのスノースポーツ好きな欧米系もいるが、やはりアジア圏の利用者の増加を肌で感じる。そうすると、多言語対応という意味において、人での対応には限界がある。急なコース閉鎖やバックカントリー侵入への危険性など、サイネージで多言語での案内があれば、救われる外国人も少なくないのではないか。持ち歩き用のゲレンデマップを多言語対応している所も増えてきた。

次に大きな理由が、ゲレンデにおいてスマートフォンが真価を発揮できないという点。マップアプリで現在地をみてもコースの閉鎖などはわからない。グローブをしているのでスマートフォンは操作しづらい。それ以前に、物を落とさないようにウェアのポケットはしっかりとファスナーで止められるような構造になっているので、スマートフォンを出しづらい。そもそも電波が飛んでいないこともある。何より寒い。いつでも万能なスマートフォンも、ことゲレンデ上においては最新情報を手に入れるツールになり得ないのである。そうすると、個人で情報を収集するよりも、オープンになっている情報に誰もがアクセスできる、という構造を成していないと意味が無い。放送はなされているが、日本語オンリーだし、滑っている時は全く気付かない。

とはいえ、ゲレンデ上のデジタルサイネージ設置は難しい。個人的に一番欲しいのは、各リフトの稼働状況と終了時間、コースの閉鎖状況だ。大体どのゲレンデにも全体図の看板があるのでそれを大型のサイネージに置き換えることが理想だが、寒さや結露でディスプレイがまず耐えられないだろう。リアルタイム更新をするにはネットワークも必須だが、その整備も必要になるかもしれない。より多くの人に一度に情報を届けるためにある程度の大きさも必要になるし、明るい日でも吹雪のような暗い日でも見えるようにするとなると輝度も必要になるので、電源問題もある。

電源が取れそうなリフト乗り場周辺なら、場所によっては屋根もあるので望みはあるかもしれない。ただ、やはり寒いことには変わりない。リフト乗り場周辺はなだらかな下り坂になっていることが多く、立ち止まって見ることが出来ないため、安全上望ましくないかもしれない。
また、スノースポーツ人口は減少しているので、そこまで整備にお金をかけられない、という財源の問題もあるだろう。冬の雪山での雇用問題もあるかもしれない。
などなど、出来ない理由が沢山出てくる。大変もどかしい。

北海道で人気なニセコのゲレンデくらいになると、ロビーのデジタルサイネージにリフトの運行情報やコース情報などは掲示されているそうだ。だが、欲しい情報は「今私が居る場所で、この先のコースやリフトがどうなっているか」なのだ。日本人でも多少不便なので、外国人に至っては理解するのは至難の業だろう。

雪質の良さからも、外国人の利用者が増えている日本のゲレンデ。どうにかこうにかデジタルサイネージが置ければ、これからくる外国人にも不安が少なくなるのに、そして方向音痴で多々自分の場所がわからなくなる筆者のような人間も救われるのに、と思うのである。