Apple新宿のCLEDISはキレイだが現場で注目されないのはなぜか?

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Apple新宿に行く機会があった。オープンは2018年の4月のなので、できたてというわけではない。こここの目玉は、店内正面に設置された巨大なビデオウォールだ。何の予備知識も事前情報もなく、純粋にMacの修理が目的で訪れたのだが、正面の巨大で美しいディスプレイに驚いた。

ひと目見て相当解像度が高いことはわかり、ピッチは1ミリ台だろうと感じた。後になってわかったのだが、これはソニーのCLEDISであった。CLEDISに関してGASKETではこれまでに3回取り上げている。

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Apple新宿に設置されているものは、ネットで公開されている情報を総合すると、
・大きさ  横8.06m 縦4.53m
・解像度  6400pix   ✕   3600pix
・ドットピッチ  1.26mm
・コントラスト比 1,000,000:1
・最大輝度  1,000cd/m2
・視野角  180度
という6K解像度である。

CLEDISと聞くと、この場での画質には若干納得がいかない印象がある。筆者がこれまで見たCLEDISはすべて展示会のソニーのブースかソニー本社であるが、それらと比較して映像にメリハリや透明感がなく、眠い感じがする。もちろん一般的には十分キレイなのだが、CLEDISの実力からすれば何かが足りていない。考えられるのは元の素材の問題と、再生環境、再生装置のスペックの問題である。これらに関しては情報がないので、ソニーのCLEDIS担当であるA氏にCESで会えたら聞いてみたいと思う。

もう一つ気になるのは、NABやIBCでは業界関係者が誰もが足を止めて見入るような、素晴らしいCLEDISの画質なのだが、Apple新宿ではそういうことが全く起きていない。流石にこのサイズであるので見ていないわけではないが、映像の凄さに引き込まれる状況にはなっていない。確かにここで映画を上映しているわけでも、ライブビューイングをしているわけでもないので(してもいいと思うが)これでいいのかもしれないが、2億円に届くであろう価格のシステムの導入効果としてはやはり物足りない結果である。

ここで筆者のかつて経験したことを思い出した。まさに同じソニーの話なのだが、今はなき銀座のソニービルには一時期テレビスタジオがあり、そこのサブ(副調整室)はガラス張りになっていて、一般のお客様が自由に見学できるようになっていた。あるときこのスタジオで収録をしていたときに、修学旅行の中学生の集団がやってきた。我々としては、あこがれのテレビの仕事をしている自分たち姿に彼らの視線は釘付けになること間違いない、と思っていたのだが、全くそうではなかった。彼らの注目は、100%完璧にVAIO C1というカメラ付きの超小型ノートPCに向かっていて、誰一人として我々に関心はなかったのである。

このビデオウォールはデジタルサイネージであり、デジタルサイネージはその場所に最適化されるべきものである。高画質高解像度だけでは人の心は動かないということである。