バス停がインテリジェントになればクルマはもっと減らせる

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バスが電車に比べて使いにくいのは、いつバスが来るのか当てにならないところだ。最悪の場合は30分も1時間も来なかったりする。海外では定刻前に出発する例を何度も見ている。しかしいまでは。バスロケーションシステムの導入が進んでいるので、現在位置などをスマホなどで知ることができることも多い。ただしその情報は、バス会社の専用アプリだったり、アプリではい場合は特定サイトにQRコードなどを読み込んでアクセスする必要があったりする。QRコードは比較的汎用性が高いが、それはたいていバス停に小さく掲示してあるので、わざわざ近寄って読み込む必要がある。乗客が何人も並んでいる場合は全員がこれをやるもの妙な話である。

よく見るとQRコードでバスロケーションがわかる。

やはりこうした情報は、バス停にいる人全員に、簡単に伝えるべき情報である。自分のスマホを使えというのは不親切だ。やはりデジタルサイネージが向いている。バス亭のサイネージはどれがルーツなのかは詳しくないが、新橋と渋谷を走る都01系は1984年から運用しているようだ。34年も前の話である。今でも時々利用する路線だ。筆者は最初の勤務地がこれのバス停の目の前だったので、数え切れないくらい使わせてもらった。なんといってもいまバスがどこに居るのか表示されるので気分的に安心だ。時々しばらくバスが来そうもないこともあり、そういうときには地下鉄やタクシーなど、他の方法を使うことができる。その判断材料を提供してくれることが重要なのであり、だから普段から使おうと思うのである。

ところがこのバス停で情報を表示するというのが案外難易度が高い。特に問題になるのが電源の問題だ。

実際にはもっと暗くて時刻表を読むには大変

渋谷のNHKの手前、旧の渋谷ビデオスタジオ前のバス停ですらこういう状況である。

歩道に金属棒が突き刺してあるだけである。ここに電源を供給するのはそれなりの工事になる。このあたりは電線は地中化されているからなおさらだ。つまり普通の屋外型のデジタルサイネージを多くのバス停に設置するのは現実的ではないということだ。

こういう従来型のLCDを設置できる環境はそんなに多くはない

そこに安川情報システムと西鉄バスが実証実験を始めたようだ。ポイントはソーラーパネルとバッテリーで可動できる表示装置と通信機器である。ソーラーパネルとバッテリーも、現実的な大きさがあるだろうから、自ずと供給可能電力に制約ができる。それで表示するデバイスとなると、一般的なLCDでは電力不足だ。特に屋外である場合は高輝度が必要になるのでさらに電力を必要とする。そのためこの実験では、ジャパンディスプレイ(JDI)の反射型LCDを利用している。電子ペーパーも可能性としては考えられるが、屋外環境では厳しいと思われる。反射型LCDはバックライトがないだけで液晶は普通のものなので屋外でも十分使用可能である。

筆者は先日この反射型LCDの最新バージョンを見たが、想像以上に鮮明で見やすい。確かに明るければ明るいほど見やすい。反射光、つまり太陽光なり外部光源の反射で見ているので、光源の色温度によって見える色はどうしても変わってしまうというか正確なものではなくなる。そのため広告用途には使いにくい。化粧品や食品などでは、少なくとも色が重要なクリエイティブの場合は厳しいだろう。だがバス停のように時刻表や接近情報の表示には何一つ問題はない。バスの案内放送、車内のサイネージはすでに広告媒体として存在しているので、バス停もセットで広告商品化できると思われる。バス停周辺の地図やお店などの情報はそれこそQRコードで見られるようにしてもいい。ただしこれらの対象となる広告主は非常に小規模だろうから、広告費も相当安いはずだ。また夜間の対策としては、エッジLEDにして導光板ガラスで光を回せば最低限読める状況を作ることは容易だろう。

こうした環境条件で事業として成立できるようなバス停サイネージシステムができるかどうか。これは非常に面白いテーマである。自動運転はバスが先行するだろうし、超都心よりは地方が先行するだろうから、そのときにこのシステムをどう組み込んでモビリティ全体をデザインするか、ここが肝だと思う。ちなみに日本のバス停の数は25万弱。これらの多くに上り下りがあるとすれば40万以上の数があることになる。