平成の終わりに15年前のコンサルティング資料を読み返す

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前職において、15年ほど前の地デジが始まったあとに、ある東京キー局のシステムの全面見直しのコンサルティングの業務を行った。大手SIerの手がけたシステムがあまりにも業務的にもシステム的にも問題だらけだったあらである。筆者はもともと放送局の実務を現場で一通り経験していたが、さらに地デジ化後の局内のすべての業務を1年以上かけて、内容はもちろんやり取りされる伝票の全て、システムに入れられているデータの一つ一つをすべて精査した。おそらくテレビ局でここまで緻密にやった例はその後もないのではないかと思う。その時のコンサルティング内容詳細は当然ここには書かないが、報告書の最後にあとがきとして7本の文章を付けている。これがなかなか良くできた文章で、報告書本編の説得力を増す働きをしたと思う。そのうちの一本がこれで、2004年の話だ。

技術とシステム

 テレビ局の約50年にわたる歴史の中で、今ほど変革が求められている時期はなかったであろう。一つは言うまでもなくデジタル放送がもたらす技術的な変化である。そしてもう一つ重要なことは、このデジタル化は本編でも再三指摘してきたように、技術とシステムのボーダレス化をもたらすという点である。これまでハードウエア、すなわち放送機器は自分たちで作る時代から購入する時代へと移行し、さらにコンピュータシステム化すなわちソフトウエア化が進行している。このことは局内でも比較的新興勢力であるシステム部門の重要性が加速度的に高まっていくことを示している。組織的にも技術、情報系を統括するCIO(最高情報責任者)のような存在が近い将来必要となるものと思われる。

 これまでのテレビの技術基盤がベースバンドと呼ばれる映像信号だったのに対して、今後はIPパケットというデジタルデータ信号に変わっていくのは避けられない。元々の無線系、映像系からインターネット系の技術への移行とも言える。こうした状況下で、システム部門を他局に先んじていかに戦略的に拡大させるかが重大課題の一つである。組織的には従来の技術部門とシステム部門をいかにうまく融合させるかである。両者は属する人材の属性、志向性も大きく異なる。技術系はともすると技術的興味が新技術の導入購入という点だけで先行しがちであるし、システム系は放送そのものに対する興味が少なく、地に足が着いていないIT未来図だと批判をされがちである。

そんなの当然とか、誰でもわかるとか、そんな批判がすぐに聞こえてくるに違いない。この文書の対象読者は2018年末のGASKETの読者ではない。2004年の東京キー局の幹部と技術系、システム系の社員だ。あのころから15年の時が流れて、テレビ局も変わった部分と変わらない部分がある。身内関係に別のキー局に最近入社した者がいるが、本人は技術部門ではなく驚くほどITからは遠い。そもそもテレビ局やテレビに対しての思い入れはほとんど無く、とってもライトに考えている。彼の話を聞く限り、テレビ業界に限らず、大学同期はみんなそんな感じだという。我々おじさんたちが誤解しやすいスマホ>パソコン>テレビという話ではなく、そもそもスマホはITリテラシの高さとはほぼ無関係で、SNSでつながるためのツールでしか無い。

筆者的には、前述の文章はいいことを書いてるつもりだったのだが、なんか違うのかもしれない。