【温故知新】テレビを意識していないiPhoneはテレビには大きな脅威【2007年】

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いくつかの偶然が重なり、幸運にも発売当日(2007年7月11日)にiPhoneを入手することが出来た。日本の携帯では搭載が進むワンセグにこそ対応していないが、iPhoneのテレビとの関係やテレビに与える影響を考えてみた。

まずは動画関連ではワンセグは非搭載。代わってあらかじめYouTubeにダイレクトにアクセスが出来るようになっており、インターフェイスもiPhoneに最適化されている。Wi-Fi環境はもちろんのこと、ソフトバンクの3Gネットワーク環境下でも案外快適に視聴することが出来る。まさに暇つぶし的にYouTube上のコンテンツをザッピングするのはなかなか楽しい。ニコニコ動画が見られないのはやや残念ではある。

またRomoteというアプリケーションを使えば、PC側のiTunesのコンテンツをiPhone側からまさにリモコンのようにコントロールすることが出来る。これは本コラムでもリモコンの重要性を何回か指摘してきたのであるが、まさに常に持ち歩くiPhoneのユーザーインターフェイスそのままでiTumesを制御できるのは画期的だ。日本ではiTunes Store上にはテレビ番組はほとんど無いのであるが近い将来そうは言っていられなくなる日が来るに違いない。アプリ開発ツールが公開されているので今後リモコンとしての利用が拡大して行くに違いない。

iPhoneにはカメラが内蔵されているが、動画を撮影することはできない。これに関しては特に不自由も感じないし、撮影後の編集処理や電池の持ちを考えれば妥当なものだと思われる。しかし、iPhoneおけるカメラの重要性はいつも繋がっていると言うことに尽きるのだ。撮影したその場で、ブログでもflickrでも、もちろんメールに添付でも、簡単に写真をアップロードすることが出来る。これは体験してみないとわかりにくい、ほんの些細なことに思えるがそうではない。デジカメに通信機能を持った製品がいくつか出てきているが、iPhoneの優れたユーザーインターフェイスも手伝い、もはやローカル端末側やメモリーカードに写真を置く必要が無くなっていく。こうしたことでそれは撮影者だけではなく、家族や友人の間では立派なコンテンツがどんどん生成されていくのである。これは間接的で一見分かりにくいのであるが、テレビにとっては大きな驚異と見るべきだろう。

なお、一部の「特殊なツール」を使えばロケーションフリーのように自宅のPCにある動画やテレビ番組をネット経由iPhoneで視聴することも可能なようだ。(注:ツールの使用については読者各位の自己責任でお願いしたい)

こうしてテレビとの関連を書いては見たものの、どうもしっくり来ない。これはどういういうことなのだろうか。やはりこれまでのテレビを見よう、見せようという考えがこのiPhoneには取り入れられてはいないのだろう。やって出来ないことではないがそういった思想を感じ取りにくい。iPhoneはあくまでもコミュニケーションツールであって、テキストや静止画、そして電話機能があるから会話。こういったものを利用してコミュニケーションを図る道具というべきなのだろう。動画撮影機能もテレビ電話機能もないのは、動画のコミュニケーション手法が確立されていないからに違いない。テキストに関しては日本語入力には慣れの問題もあるだろうがもう少し洗練されていたらとは思う。

手のひらに入るサイズの小さな端末で、空いた時間やベッドサイドで手軽にコミュニケーションを楽しむ。写真のアップロードは知らず知らずのうちにコンテンツを作り上げていく。こういった道具がデファクトになってくるとすれば、テレビに向けられる時間は減ることはあっても決して増えることはないことは確かである。

(本稿は2007年7月に日経IT PLUSに寄稿した記事です。)

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