エッジAIの動向とハードウェアに与える影響

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当サイトでもインテルの最新のMyriadXを搭載したニューラルコンピュートスティック(インテルはこう呼んでいる)INTEL NCS2を簡単にご紹介した。

性能は、前バージョンに比べ8倍以上と謳われており、また、今回の目玉は、旧態の画像処理(インテルは、Traditional Computer Visionと呼んでいる)も高速化できるハードウェアアクセラレーション機能をOpenVINO(階層として、OpenCV、OpenVXなども含まれる)で実現できるとしている。残念ながら、RaspberryPiなどのARMアーキテクチャでの動作は未だライブラリが提供されていないため(2018年12月初旬現在)、GASKETスタッフでもまだRaspberryPi上では動作させられていないが、過去の経緯や市場の動向、デマンドを鑑みるに、これらがサポートされるのはそれほど先ではないと思われる。(実際、理論上はリコンパイルするだけの話だとは思う)

AIを利用したシステムは、ネット経由でデータをクラウドに送り、推論結果をクラウドから得る、という仕組みではレイテンシやプライバシーコンセプト(人物画像をクラウドに上げて良いのか?という問題など)から実用にならないことが多く、こういった高速な演算チップのソリューションはますますエッジAIを加速することになるだろう。特にコンピュータビジョンの世界はこの傾向が極めて強い。

現在のエッジAIの動向は明らかにエッジデバイス(乱暴に言うと、CPUボードと捉えてください)にただならぬ影響を与える。すべてのIoTデバイスがAIテクノロジを利用するわけではないし、否、現在では使わない場面の方が多い。しかし、“使いたい”、となった場合に、いちから機械学習のライブラリを作って(移植でもいいが)、ローカルなCPUボードで動かすことができるエンジニアや環境がどれだけ存在するだろうか?ついでに高速化するために、上述のインテルのNCS2のライブラリを移植し、動作させられるエンジニアがどれだけいるだろうか?仮に存在したとしても、その労力は計り知れないし、現実問題として不可能と言っても過言ではないと思う。

では、AIのライブラリや、インテルのNCS(今後他社も同等のものをリリースするはずだ)などのデバイスはどのハードウェアに対応するのか?世界中に存在する無数のローカルなCPUデバイスに対応したライブラリを出すのか?

誰が考えてもそれはあり得ない。ワンボードのCPUデバイスで考えるなら、オープンソースハードウェアであり、一定の市場をつかんだものだけに対応していくことになるのは自明の理である。現状だとRaspberryPiくらいしか存在しない。ハードウェアを選択する側からすると、ほとんど選択肢がないのである。ローカルな産業用CPUボードを開発、リリースしてきたメーカーは、大きな岐路に立たされている。AIテクノロジは思わぬところにも影響を与えているのだ。

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