バックライトがない反射型液晶ディスプレイ

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デジタルサイネージでは、潜在的な利用ニーズがあるにもかかわらず、表示装置にはまだまだ課題が多い。なかでも屋外利用における課題が多い。屋外利用では輝度、太陽光の影響、防塵防滴などが問題になる。さまざまな生活シーンの中で、いつでも屋外ではっきり見える表示装置が必要なのである。

こうしたニーズには現状ではLEDディスプレイが使われることが多い。しかしLEDディスプレイはドットピッチの関係で高解像度を得ようとすると物理的な画面サイズが相当大きくなってしまう。例えば4Kをドットバイドットで表示すると、価格がある程度現実的な3.9ミリピッチのパネルを利用した場合でも、横が15m、縦が4.5mの大きさになってしまう。更にパネルだけで2000万円を超えてしまう。もっと小さく高解像度を屋外で実現する適切な表示装置がなかなか見当たらないのである。

こうした現状の中で、期待されるのが反射型のLCDである。通常のLCDは晴天時の屋外ではLCDはバックライトの明るさが太陽に負けてしまうので、1000カンデラを超えて2000カンデラ以上の明るさが必要になる。これは耐久性や消費電力に課題が多い。これに対して反射型LCDは明るければ明るいほどよく見える。原理は、バックライトのある部分に反射板を設置して、前から入ってくる光を反射させるのだ。

ジャパンディスプレイ(JDI)は、数年前からこれを実用化しており、小型のものはスマートウォッチなどですでに使われている。筆者も最新の32インチ反射型LCDを見る機会があったが、確かに明るいほどよく見える。広告品質の色再現性には問題があるが、コントラストが高めの素材で、テキストやピクトグラム的なものを表示する場合であれば全く問題がない。JDIの資料はこちらにある。

反射型LCDのデジタルサイネージ的なメリット

・晴天時の屋外ではっきり見える
・超低消費電力である
・バックライトがないので薄くて軽い

この特性を活かした利用シーンの一つとして、バス停というロケーションがある。バス停では時刻表が貼ってあるが、この変更作業には多くのコストがかかる。また最近増えているバスロケーションシステムによって、バスの現在位置や、到着見込みを表示することができる。バスの最大の不確定要素は、バスがいつ来るのかわからないことだ。これを表示してくれることは利用者にとっては極めて大きなメリットだ。これらはLCDでも実現可能ではあるのだが、多くのバス停では電源を確保することが非常に難しい。反射型LCDであればソーラーパネルとバッテリー、モバイルルーターで十分運用が可能だ。

今後の課題としては、夜間の視認性の確保だ。これはディスプレイ周りをLEDライトで囲んで、導光板でディスプレイ面に光を回してやれば十分である。あとはバス停サイネージを事業として成立されるための方法であるが、これは先入観を捨てれば、個人的にいい案があるので関係者と話しをしていきたいと思っている。他にも「ソーラー稼働でネットに繋げて可視化したい場面」というのは、やはり先入観を捨てれば結構見えてくるものである。

固体反射ディスプレイ(SRD)も登場

このように大きな可能性を秘めた屋外でも使える反射型の表示装置には、他にもBodle社の固体反射ディスプレイ(SRD)という技術もある。この動作原理はJDIとは異なるが、できることはほぼ同じのようである。こちらに日本語での解説記事がある。

この領域の潜在需要は相当大きいと思われる。JDIのさらなる技術開発と、積極的なマーケティングに強く期待をしている。

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