Amazon Personalizeの外販がAmazonにもたらすもの。

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Amazonがこれだけ多くのサービスをリリースし、顧客を喜ばすことができるのも、AWSの莫大な利益があるからだ。2018年7~9月期の同社の営業利益は28億8300万ドル(3200億円)だったが、営業利益のうちAWSの占める割合は56%に上っている。この利益を使うことで、Amazonは次々と施策を打ち続けることができるのだ。

先週(2018年11月26~30日)、Amazon AWSの大規模な年次開発者イベントAWS re:Invent 2018が開催されたが、その中で驚くべきことが発表された。なんと同社の中核技術のレコメンドAI(Amazon Personalize)を外販すると発表したのだ。今までAmazonが築いてきた強みが、個々の消費者にあわせて商品をレコメンドできるシステムだ。創業以来20年以上かけて、培ってきた虎の子であるその技術を開放することにしたのだ。

多くの企業は、クラウド経由で使えるAmazonの人工知能(AI)システムを活用することで、AIの技術者がいなくとも、自社のデータを組み込むだけで、レコメンドシステムを構築できるようになるのだ。AIの技術者が不足する中で、多くの企業にとって、今回の発表はメリットと感じるはずだ。

消費者のネット上の行動履歴に基づき、的確な商品をレコメンドすることでAmazonは成長してきたが、この技術を外販することを次の成長の柱にしたのだ。競争が激しく、利益の薄い小売ビジネスから、レコメンド技術の従量課金モデルにシフトすることで、同社は新たな収益源を確保しようとしている。

企業がこの新しいサービスを使えば、莫大な投資を行わずに、機械学習などのノウハウを得ることができる。AWSの成長のためには、Aamzonのノウハウすらもビジネスの対象としてしまうのは恐れ入るが、AIのプラットフォームを押さえるためには、正しい選択なのかもしれない。

今回のイベントでクラウドサービスのインフラ領域では、AWSが51.8%ものシェアを握っていることが明らかになった。もはや小売ではなく、テクノロジー企業に変化したAmazonはレコメンドと機械学習の技術を活用し、AIの分野でも覇権を握ろうとしているのだ。

MicrosoftやGoogleとの競合が激しくなる中で、自社の基幹技術を開放するAmazonの決断に筆者は凄みを感じた。自社の機械学習(AI)をビジネスのネタにしてしまうことで、この分野でのAmazonの存在感は増すはずだ。

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