やる気を低下させるアンダーマイニング効果

AI/IoT/Media /

UXを語る上で機能やUIについて議論されがちであるが、本当に欠かせないのはユーザ心理である。「アンダーマイニング効果」についてフォーカスし、ユーザ心理を無視した結果がどうなるかについて見ていこう。

あなたはサイトの運営者

あなたが動画投稿サイトを立ち上げたとする。投稿すると面白いと思った人はいいね!ボタンを押し、ポジティブなコメントで溢れている状態である。人気の投稿者はチヤホヤされるのが楽しくどんどん面白いものを投稿していく。その好循環によってサイトの滞在時間が競合他社の背中が見えるところまで来た状況である。

ポイントキャンペーン

そこでさらに競合他社に追いつくために投稿を増やしたいため、投稿すると100ポイント、1いいね!、1再生で1ポイントをプレゼントすることにした。すると短期的には投稿数が増え、サイトも賑わい広告収入も倍増した。SNSでも話題になりユーザ数も増加した。

キャンペーンが終了すると…

キャンペーン終了後、有名な投稿者の投稿頻度も下がり質も低下、ユーザも離れ再生数も減り広告収入も激減した。このようなネガティブな結果となった理由が「アンダーマイニング効果」である。

アンダーマイニング効果とは

アンダーマイニング効果とは「内発的動機づけ」を「外発的動機づけ」に変えることによってやる気が低下する現象である。楽しい、チヤホヤされるなどの理由で投稿を行うのは内発的動機づけによる行為であり、インセンティブが得られるなどの理由で投稿を行うのは外発的動機づけによる行為である。

ユーザは最初楽しい、チヤホヤされるなどの内発的動機づけで投稿を行っていたが、インセンティブが発生することになってより一層やる気になって投稿するようになった。しかしこの時点でモチベーションが内発的から外発的に変わってしまっているのである。その後キャンペーン終了によってインセンティブが発生しないため、もう投稿する気がなくなったのである。

アンダーマイニング効果を防ぐには

インセンティブが内発的動機付けを低下させるには4つの前提条件があると言われている。

・行動の前に、その行動をすれば報酬が与えられることを予告しなければならない。
・報酬が遂行に随伴して与えられなければならない。
・報酬を与えられる前から、面白い行動であること。
・物的な報酬であり、言語的な報酬ではないこと。

逆に考えるとキャンペーンの内容を工夫することで、多少なりともアンダーマイニング効果を抑制できる可能性がある。

・一番人気の動画を投稿した投稿者を表彰する
・一定の再生が多い動画に対してランダムでインセンティブが発生
・抽選で芸能人とコラボ動画を投稿できる機会

ユーザ心理をうまく応用したUXを設計し、よりよいユーザ体験につなげていただければと思う。