電車内におけるダイナミック デジタルサイネージ

AI/Digital Signage/IoT /

DDOOHはダイナミック デジタル アウト オブ ホーム メディアのことである。もともとはOOHと呼ばれていたものがデジタル化し、さらにダイナミック(動的)に表示内容を可変できるデジタルサイネージである。

ダイナミックDOOHを事例とその効果を端的に表しているのが、2015年のデジタルサイネージアワードを受賞した、PANTENEさんのUV_PRICEだろう。PANTENE PRO-Vという、紫外線から髪を守る商品の販促企画である。

江ノ島の海の家にUCセンサーとデジタルサイネージを設置してリアルタイムでUV指数を表示する。そしてUV指数が上昇すると、商品の価格がダウンする企画。実際に8906人が商品を購入した。この事例詳細はこちらのサイトに詳しく書かれている。

この企画のDDOOH的なポイントを考えてみよう。

(1)商品コンセプトが明確かつ説得力がある
肌のUVケアをしていても髪のUVケアをしてる人は少ない
紫外線が髪に与えるダメージは肌の3倍というのあまり知られていない

(2)訴求するのは「現場」が効果的
ギラギラとした太陽を浴びていれば実感する
いま、この場ですぐ使いたい

(3)UV指数を可視化するリアリティ
UV指数やSPFはよく聞くが、実際のその場所の数値を知ることがほとんど無い

(4)UV指数と商品価格が反比例するというユニークな設定
UV指数と価格をデジタルサイネージで可視化
単にその時の数値ではなく、過去から現在までの「変動値」を表示した卓見

こうした一連のプロセスをテレビCMやWEBページで行ったとしても、(2)から(4)については現場に優るものはありえないわけだ。

つまりDDOOHにおいては、「ロケーション」「リアルタイム」「ビジュアライズ」という3つの点について検証検討を行い、UV_PRICEの事例をベンチマークとして企画化するのが良いのではないだろうか。

どのケーション
今乗ってる電車の中、目的地の混雑状況?
ワイキキビーチの今?

リアルタイム
「いま」であることが明確であると説得力や親近感が増す

何をビジュアライス
何を、どう可視化するべきか
数値化、グラフィックス化、ライブ中継

電車の中でのDDOOH

では電車の中でDDOOHを活用するとどういった事が可能になるだろうか。まず前提条件として、トリガーとなるデータをどこから入手するかで2つに分かれる。

電車外から取得する情報
インターネットからデータ取得をするものである。例えばゲリラ豪雨情報を気象予報会社から入手して表示するものが考えられる。いわゆるゲリラ豪雨が一定範囲内に出現した場合のみ、レーダーマップを車内のデジタルサイネージに表示する。雨域の動きを表現すれば、移動中の電車内で、自分の目的地がこれから雨が降るのか降らないらのか、ある程度の判断できる。それによってその先の行動を予め変更することも可能である。

ここでよく指摘されるのは、「それってスマホで見れますよね」という話である。これは正しいが正しくない。私たちはいつ来るかわからないゲリラ豪雨のために、頻繁にスマホアプリをチェックするだろうか。皆がアプリの降雨アラートを設定しているだろうか、それも複数地点を。デジタルサイネージはこうした本人の意志によらない、出会い頭のコミュニケーションに向いている。他にはサッカーや野球などのスポーツの試合経過情報は一定のニーズはあると思われる。

電車内で取得する情報
電車内に設置したIoTセンサーとカメラからデータ取得するものである。取得できるデータには温度、湿度、照度、気圧、騒音、3軸加速度、画像などが考えられる。

この中で温度湿度を利用した場合を考えてみる。車内の温度湿度は基本的には車内は空調が効いているので、外気温のような大きな変化はもちろんない。しかし混雑度合いによって、夏のラッシュ時には高温多湿になることもあるだろう。これらをトリガーとして飲料、化粧品などの広告を考えると

お疲れ様です。
いまこの車両は気温29度、湿度85%
駅についたらポカリスエットで水分補給をお忘れなく。

じわっと汗ばむ車内は現在湿度85%
ビオレさらさらパウダーシートでサラサラできるよ

のような訴求はクリエウティブ次第で説得力があるだろう。

では画像の利用はどうだろうか。
画像は「カメラと呼ばれる画像センサー」でデータを取得する。よくセキュリティやプライバシー問題を指摘されるが、混雑度合い、年代性別などのAI解析はリアルタイムで行うことができる。そのためそもそも画像の保存自体は行う必要がない。すでにJR山手線などではリアルタイムの混雑度合いをWEBやアプリに公開している。これは床面に設置されたセンサーで、重量や圧力から推計しているものだ。新造車両では可能だが、既存車両の床面に手を入れることは現実的ではない。カメラによる画像認識であれば実現できる。

JR東日本アプリ「山手線トレインネット」 JR東日本webより

混雑度合いをどう表現するかは、JR山手線アプリでは5段階のピクトグラムになっている。混雑度合いを情報として提供するのであればこれでいいと思うが、広告のトリガーにすると

お疲れ様です
ただいま混雑率168%
Spotifyでクールダウン

混雑度合いがわかると
・空いてる車両に移動できる、あるいはどの車両も混雑しているので諦められる
・空いていれば新聞雑誌も読める
年代性別がわかると
・ターゲティングできる

 

広告取引ルールの問題

こうしたDDOOHが有効なものになったとして、問題となるのは広告取引ルールをどうするかということだ。デジタルサイネージにおいても、放送と同じく広告枠という考え方があり、多くは〇〇分ロール、期間と回数によって取引が行われている。DDOOHは動的に変化するため、扱いをどうするかという問題が残る。

通常の枠を買っていただいて適宜放映素材をシステム側で差し替えるのであれば問題はない。通常の枠ではなく、前述の例で言えばゲリラ豪雨の時だけ放映される広告またはペイドコンテンツを差し込むと、ロールの尺が変わってしまう。そこで現実的には、こうしたダイナミックに差し込まれるコンテンツがある場合には、予め自社枠を設定しておき、ここに割り込ませるいうのが当面は現実的だろう。

将来的には電車内DDOOHでもテレビやWEBと同じく、固定された「枠」という考え方ではない媒体利用を増加させていく必要があると考えている。

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