世界で一番使われているタッチパネルによる案内サイネージ

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タッチパネルディスプレイによる案内デジタルサイネージはさざなま場所で利用されているが、中にはあまり使われていない例も少なくない。日本国内だけでなく世界各地の案内サイネージを数多く見てきた中で、おそらく世界で最も使われていると思われるのが、ロンドンのWestfield London Shopping Centerの事例だ。

最初にここを訪れたのは2010年の11月である。インターネットの情報で、その美しい筐体デザインに驚き、出張のついでに立ち寄ったのが最初だ。ロンドン中心部から少し離れた現地に行くと、日本で見かけるものとは異なり、それこそひっきりなしに操作されていた。

5年後に再訪してみると

そして5年後の2015年の10月に、その後の利用状況を改めて確認するべく、再びロンドンに足を伸ばした。結果としては相変わらず本当によく操作されいた。5年前はこのモールが開店して間がない(開業は2008年10月)時だけの現象であって、時間経過とともリピータも増えて、探しものをする必要もなくなってきているはずだろうから、もうあまり使われていないのではないか、ひょっとしたら撤去されているかもしれないとすら想像した。ところが5年前と全く変わることなく使われていたのである。そしてよく現場を観察してみると、使われる理由が見えてくるのだ。

まずは筐体デザイン。非常に美しい形状である。側面の黒い線はスリットになっていて、給排気を行っている。なおファンなどによる強制排気ではない。

機能とデザインを巧みに融合した事例。その後に類似例を世界各地で見るが、これに優るものは未だ見たことがない

ディスプレイの傾斜が異なるのは、子どもや車いすでの利用を考慮しているからだ。写真の左側は子供でも使えるようになっている。更に足元の傾斜に注目いただきたい。右側のように奥に切れ込んでいると、車椅子でも操作しやすいように設計されているのである。バリアフリーとデザインをここまで共存させた例はなかなか見かけない。

そしてこういうものは並んでまでして操作するものではないから、裏表で同時に2組が使えるところにも大きな意味がある。見た目の美しさだけではなく、表裏両面にディスプレイが設置されているので、誰かが使っているのを見ることで、これが触れることができるものだとすぐに理解できる。よくこうした端末では、「タッチできます」と表示されていることが多いが、それを伝えるためには、誰かが操作していることに優るものはない。このことはタイムラプス撮影してみると一目瞭然だ。誰かが操作しているとそれが連鎖するが、人が途切れるとしばらく途切れた状況が継続される。

また筐体の真ん中が空いているので、小さい子供は例外なくこの中に入ろうとするのも面白い。筐体の素材は公園にある遊具のような強化プラスチックかFRPでできていて、エッジ部分は怪我をしないように丸く加工処理されている。よくあるような金属筐体ではないので、触れても冷たさはない。これは無意識のうちに人に対して優しい、決して排除するものではないことを表している。筐体が人を招き入れていると言ってもいいほどだ。

小さい子供は驚くほどこの中に入りたがる。そしてそれは筐体が放つ親しみやすいオーラのようなものがあるからだ

設置場所も重要である。日本ではこういった端末は通行の妨げになるという理由で、壁際に追いやられるケースがほとんどだ。ところこここでは、写真のように見通しが効く通路上に設置されている。筐体の奥の手すりの向こう側は吹き向けなので筐体がとてもよく目立つ。もちろんもともとの空間の広さが圧倒的なのでここにおけるのだということはあるが、こういう設置場所は、タッチパネルならずとも見習うべきである。

この空間のこの場所に置くことの重要さ
お行儀は良くないが、こういう姿勢で使えることは大切
身体を支えられることは画面タッチする際に非常に重要なこと

また画面をタッチする時の体勢を考えてみていただきたい。写真の男性たちのように、肘や手で支えられるのとそうではないのでは使いやすさが大きく異なる。多くのタッチパネルは、垂直にディスプレイが取り付けられているのでタッチする場合に手首が疲れる。空いた方の手を支える場所がないないのも不安定なのだ。

広告販促用のディスプレイも統一デザイン。そして設置場所も通路の真ん中だ

1Wayのデジタルサイネージも筐体デザインは共通。設置場所もこの通りである。

5年前からカメラによる画像認識が実用化されていた

ユニクロを検索した例

肝心のコンテンツについては、実はさほど出来は良くはない。デザイン先行すぎていて必ずしもわかりやすいとは言えない。その中で興味深いのは、パーキングで自分の車の位置を探し出せる機能だ。自分のナンバープレートの数字や文字を入力すると、我慢上に候補が表示されて、そこから自分の車を選ぶと、その駐車場所とそこへの行き方が表示される。いまなら比較的簡単に実現できると思うが、2015年の段階でここまで実現していたのである。

自分の車のナンバープレート(一部でよい)を入力すると候補の車の駐車されている現場の写真が表示される
車の位置、そこまでの行き方を表示

Wesyfieldはシドニーにも店舗があったので出かけたことがある。シドニーではロンドンとは異なる筐体を使用していたので別の機会にGASKETで紹介したいと思う。

前回の訪問からすでに3年が経過してしまった。定点観測的に、近いうちに再び現地を訪れようと考えている。