IoTとLPWAで糸島市が行う新たな取り組みとは?

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福岡市内から車で40分も走れば、自然豊かな糸島市に到着する。九州大学の巨大な伊都キャンパスが移転し、2万人の学生や教職員が通う街が出来上がっている。ここでは2000人の留学生が学び、歴史のある街がインターナショナルな場所に生まれ変わっているのだ。海山の自然も豊富で、福岡だけでなく、日本中から観光客が集まる人気スポットになるなど複合的な魅力で、多くの人を集めている。このエリアにベンチャー企業も注目し、糸島に進出する企業も増えている。

福岡市から糸島にかけての海辺エリアには、シェアオフィスができており、海を目の前に働くことがトレンドになっている。筆者もなんどかこのエリアを訪問しているが、ITだけでなく、その魅力に取りつかれた多様な経営者がここで働くことを選択している。写真は福岡市のシェアオフィスのSALTだが、この理想のオフィスにはウミーベユナイテッドピープルなどの企業がオフィスを構えている。自然と利便性、ゆったりとした環境、家賃の安さなどの理由によって、ここに人が集まっているのだ。新しい人が増えれば、住民のテクノロジーへの理解も深まり、新たな取り組みも起こしやすくなる。

この糸島市が最近IoTでも話題になっている。IoTカンパニーのBraveridge(ブレイブリッジ、福岡市)と糸島市が共同で4つの取り組みを開始している。LPWA(Low Power Wide Area)は「低消費電力・広範囲」を特徴とする無線通信技術だが、このLPWAの一種である「LoRaWAN(ローラワン)」の親機を市内に設置し、今年の4月から実証実験をスタートしたのだ。

この取り組みは「福岡県IoT推進ラボ」の平成29年度の補助事業を活用した。LoRaWANネットワークは、同社が糸島市の協力を受け、市内20箇所の公共施設へゲートウェイを設置し、市内の90%のエリアをカバーしている。サービスは以下の4つでIoTが糸島市民の生活の利便性を高めている。
①見守り 見守り対象の位置をパソコンやスマートフォンの地図上で確認(児童、ペット、自転車など)
②水位管理 農業用水、ため池などの水位警告をメール通知、パソコンやスマートフォンの地図上で確認
③バス管理 コミュニティーバスの通過情報を停留所に設置したデバイスで確認
④鳥獣捕獲檻管理 捕獲檻の作動をメール通知、パソコンやスマートフォンの地図上で確認

水位管理では、従来の水位計に比べ、ローコストを実現している。糸島市内の小さな河川や農業用水路、ため池などにLoRaWAN内蔵の水位センサーを取り付けている。普段は通信を行わず、機器を設置した高さまで水位が上昇してくると、電極がショートし、LoRaWAN経由で水位の情報をサーバーに伝えるようにしている。警戒水位に的を絞ることで、価格を抑えたことが特徴だ。

バス管理では、停留所とバスの両方にLoRaWANとBluetooth内蔵の子機を設置している。バスが停留所に接近するたびにBluetoothで検知し、LoRaWANがサーバーに位置を伝えるようにしている。乗客が停留所の案内機のボタンを押すとサーバー側からLoRaWANで情報を取得でき、バスの到着を知らせるのだ。

LPWAとIoTの導入によって、低消費電力、低価格でのサービスが実現している。役所が新しいテクノロジーを取り入れることで税金を抑えることが可能だ。また、本来人がやるべきクリエイティブな仕事に人員を配置できるようになる。最新の技術を取り入れる役所や企業が増えることで、生産性がどんどん高まるはずだ。