Amazon Fresh Pickupが変えるアメリカのスーパーの現状

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Amazonのカスタマージャーニーマップを書くと、ネット企業であった同社が、どんどんオフラインのタッチポイントを増やしていることがわかる。顧客とのタッチポイントを増やし、そこにデジタル技術を取り入れることで、顧客を満足させ、囲い込もうとしているのだ。高級スーパーのWhole Foods Marketを買収したのも、家庭とのつながりを強化するためだ。オフラインを活用している顧客をアマゾンのファンにさせ、アマゾンでの購買頻度を高めることを狙っている。

Wiredによると、アメリカの食料品市場は今後10年間で5倍となり、2025年には消費額が1,000億ドルを超えると予測されている。アメリカでは、現在家庭の約25%が食料品の買い物をオンラインで行っているが、10年以内にこれが70パーセントを超えるのだ。この巨大なマーケットにAmazonは狙いを定め、Whole Foods Marketを買収したのだ。実際、Whole Foods Marketはアマゾンの弱みの生鮮食品を補完し、Amazon Freshを魅力あるものに変えている。Amazonはデジタル化が遅れていた生鮮食品分野に、今まさに革命を起こしているのだ。書店の姿を変えてしまったAmazonが今生鮮食品の分野でも競合を圧倒してくるはずだ。

最近はカーブサイド・ピックアップの「Amazon Fresh Pickup」にも力を入れている。オンラインで食料品を注文した顧客が自動車で店舗を訪れると、従業員が買った商品を自動車まで運び、トランクに積んでくれるのだ。Whole Foods Marketにもこのサービスが拡大され、買い物の手間と時間の節約したいアメリカ人には受けている。注文品を揃える時間を短くしてのもAmazonの強みで、オーダーから15分から30分程度で揃えてしまうそうだ。店舗に到着後も数分で車まで運んでもらえるのは本当に便利だ。自宅でオンラインで注文しておき、車で移動するうちに買い物が終わってしまうのは、忙しい消費者には魅力的だ。Whole Foods Marketなら商品への信頼度も高いので、生鮮食品でも顧客は躊躇しないはずだ。高級スーパーのユーザーのAmazonでの買い物頻度が上がれば、他の競合への影響は避けられない。

日本では目新しいAmazon Goにばかり注目が集まっているが、このカーブサイド・ピックアップというサービスが最近のアメリカのスーパーのトレンドになっている。WalmartやKrogerでもこのカーブサイド・ピックアップを実施しているが、Amazonほど短時間で商品を揃えられずにいる。ピックアップや配送のノウハウを溜め込み、デジタル化で顧客満足を高めてきたAmazonがここでも顧客からの信頼を得ているのだ。

商品すべて★★★★以上の品物のみを揃えたAmazon 4-Starをニューヨークに出店するなど、Amazonの動きは止まらない。同社は今後も様々なリアル店舗を開き、サービスを多様化し、CX(顧客体験)を高めるはずだ。既存のスーパーや百貨店は顧客を満足させるために、知恵を絞らなければならないが、後手後手になっている感が否めない。ビッグデータを活用しながら、日々顧客のためにサービスを進化させるAmazonと戦うためにはCXを高める必要があるが、ここでもAmazonが一歩先んじている気がする。

アメリカでは創業125年の老舗小売業者のSearsがついに破産を申請した。老舗はデジタル化に乗り遅れただけでなく、店舗への投資を怠り、魅力的な店舗を作れなかったのだ。Amazonはオンラインだけでなく、オフラインのビッグデータを活用し、顧客を満足させる取り組みを続けている。新しいサービスが出るたびに、筆者はAmazonのカスタマージャーニーマップを描いているが、顧客とのタッチポイントやCXの高さを見ると、競合が生き残れる余地が少なくなっている。デジタル化とCXを高める努力を続け、顧客満足を高めることが各社の生き残りの鍵になっている。

photo credit: Phillip Pessar Mid-Century Former Publix Now Whole Foods via photopin (license)