何度目の正直?スマートディスプレイというカテゴリーは今度こそ来るのか

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新しくスマートディスプレイと呼ばれるらしいカテゴリーがある。テレビでもPCでも、タブレットでもスマートフォンでもないディスプレイの利用である。主に家庭内に置かれてニュースや天気予報などを表示するもので、ホームサイネージとも言えるものだ。これらは20年を超えるほどの歴史があり、それは失敗の連続であった。

1番目の正直 PointCast 1996年2月13日

覚えていらっしゃる方がどれだけいるだろう。PointCastは、PCのスクリーンセーバーに様々なコンテンツを表示してメディア化しようという試みである。まだモデムかISDNの時代であるので動画こそ動かないが、flashでそれなりにクールな動きを表現できた。日本ではトランスコスモスが中心になり、大企業がコンソーシアムを組んで事業化を試みたがうまくいくことはなかった。なお0番目としてフランスのミニテルがあるが、そこはとりあえず分けて考えよう。

PointCast screenshot

2番目の正直  Chumby 2008年2月25日

2008年のCESで華々しくデビューしたのが「Chumby」である。 3.5インチ横 199ドルで2008年2月25日発売(日本は10月23日)その後サービスを停止したが、2014年7月1日に復活し、59.99ドルで現在も中古機を発売中。以前は完全無料モデルだったが、現在は月額3ドルの利用料でサービスを継続している。筆者はChumbyユーザーであった。

3番目の正直  デジタルフォトフレーム群 2009年ごろ

この時期にはガラケー全盛時代で、ケータイにカメラが付くようになり、ケータイで撮影した写真を表示する目的でデジタルフォトフレームの市場が急速に拡大した。と同時にケータイキャリアが回線獲得のためにケータイネットワークに接続するデジタルフォトフレームサービスを各社とも積極的に展開をした。写真はドコモの「お便りフォトパネル」である。

またこの頃に「FrameChannel」というデジタルフォトフレーム向けのコンテンツ配信プラットフォームがあり、ニュースや天気予報などのコンテンツ配信をしていた。日本のメーカーは東芝が参加していたが、主に台湾や中国、フィリップスなどのフォトフレーム製品がこれに対応していた記憶がある。筆者もフィリップス製の対応機を使っていた時期がある。なお後にSCALAが買収したSignChannelは、FrameChannelがデジタルサイネージ向けに提供をしていたサービスである。

4番目の正直 SONY Dash 2010年4月25日

この流れにソニーも「Dash」という製品で参入した。7インチ横 199ドル 2010年4月25日発売(日本では未発売)
前述のChumbyとライセンス契約を行い、中身はLinuxベースのオープンソースであるChumby OSを採用していた。

アスキーの紹介記事 http://ascii.jp/elem/000/000/489/489075/

 

そして最後の正直?スマートディスプレイ

数年前からのスマートスピーカーの延長線上で、ディスプレイ付きのスマートスピーカーとして、Google、Amazon、Facebookが立て続けにスマートディスプレイを発表した。今後順次市場に入ってくる。

Google Smart Home Hub 7インチ横 149ドル 2018年10月22日発売(日本発売は不明)

 

Amazon Echo Show 2018年12月12日発売

Amazon Echo Spot    2.5インチ丸 14,980円  発売中
Amazon Echo Show   10インチ横 27,980円  2018年12月12日発売

 

 

Facebook Portal Comming Soon

Facebook Portal   10インチ横 199ドル(日本発売は不明)
Portal Plus   15インチ縦 349ドル(日本発売は不明)

それぞれ機能に差異はあれど、要するにスマートスピーカーにディスプレイがついたものである。いまのところAppleの参入がないが、彼らがどう考えているのかわからないが、Appleっぽい感じはあまりしない。あるいはそれ故にAppleが新しい提案をしてくれるのかもしれない。スマートディスプレイは、家庭の中でテレビモニター、PCモニタ、そしてスマートフォンに加えて、決してこれらに取って代わって変わってではないポジショニングを確保することができるのだろうか。なお、Google Smart Hubはカメラを搭載していない。

環境的には、これまでの失敗例と状況が異なることはいくつかある。まず音声UI。これは端末に近づいて手で操作しなくてもよいというのは確実に利便性が高い。AIもどんどん高度な解析処理が可能になっている。またWEBコンテンツの表示だけではなく、SNS端末として電話やテレビ電話の代わりになるのもこれまでにはない機能だ。そしてすでにパーソナルなスマートフォンは家にもあるわけで、このことがどう影響するのか。ビジネスモデルとしては、いきなり家の中に広告が入り込んでくるのは受け入れられにくいだろう。Amazonは別の事業とセットで考えられるが、GoogleやFacebookは必ずしもそうとは言えないのか、それとも彼らの本業とのシナジーが生まれるのか。

X番目の正直として、家庭内にこうしたガジェットが本当に浸透できるのか。まずはこうした失敗をじっくりベンチマークしてみることである。ヒントは先人の経験と失敗に必ず隠されている。